|
カテゴリ:園芸
中日春秋 (書写) 新幹線今日開通の春日和 福井県敦賀市の気比の松原は白砂青松の景勝地。同じ県の現・お おい町出身の作家水上勉も愛した。紀行文『気比の松原』によると 、東京からの帰省では北陸線の列車を敦賀で降り故郷に向かう小浜 線に乗り換えるが、その待ち時間に足を延ばしたという▼妻と別れ 、故郷の親に6歳の娘を預けに行く途中にも訪れた。浜で娘は靴を 脱ぎ、松風の中を髪を後ろになびかせて走った。数年後、再婚して 娘を呼び戻すため、新たな妻と故郷に向かった際も敦賀での待ち時 間に寄る。妻と浜に座り、娘の反応を案じた▼北陸新幹線の延伸区 間金沢―敦賀間が今日開業し、東京と敦賀を結ぶ列車が走る。能登 半島地震から2カ月半。延伸区間沿いは震源から遠く温泉などの観 光資源も豊富な地だが、風評被害で旅行者は減ったという。日常が 戻らぬ奥能登に思いをはせつつ、北陸復興の契機にしたい開業の日 である▼名古屋や大阪から金沢方面に向かう客は敦賀で在来線から 新幹線に乗り継ぐ。乗り換え客を改札の外へ誘うべく、敦賀市はP Rに力を入れている。かの白砂青松の名勝は誘客の看板だろう▼そ こで昔、水上が新たな妻とともに抱いた懸念は杞憂に終わり、娘は 懐いてくれたという。忘れがたい海辺。「敦賀の気比の松原は、私 にとっては、永劫のものである」と書いている▼忘れがたき思い出 をつくるべく旅に出たいものである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.03.16 05:26:02
コメント(0) | コメントを書く |