テーマ:「ハウルの動く城」(329)
カテゴリ:趣味・雑事・その他諸々
今日の(と、言っても0時をまわったので昨日ですか)朝方に行われたアカデミー賞の授賞式。日本からは我らが宮崎駿監督の『ハウルの動く城』がノミネートされましたが…。やっぱりダメでしたね。残念!
で、アカデミー賞の「長編アニメ部門」にてオスカーを見事に勝ち取ったのがこれも予想通り、ニック・パーク監督の『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』でした。まぁ、ティム・バートン監督の『ティム・バートンのコープスブライド』は面白いのですが、独特の世界観がチョッとね?という感じでしたね。 では、なんで今回のアカデミー賞で『ハウルの動く城』が受賞を逃したかと言いますと、如何せん時期が遅かったのが痛かったですね。スタジオジブリは、すでに次回作『ゲド戦記』の作成に大車輪の状況です。あのジブリの鈴木プロデューサーもテレビのインタビューで(日本テレビだったと思うですが)「なんで今頃…」とお話されていましたしね。 そして次の理由は、宮崎監督がニック・パーク監督を高く評価している、という点です。実は以前、私の大大大好きな!森薫さんの『エマ』の特集が載っているので衝動買いをした『MOE2月号 もう一度、まんがに夢中!』の中に、「宮崎駿vsニック・パーク スペシャル対談」(東京国際映画祭の企画)という記事があってそれを読んでみると、その対談の記事の中からはニック・パークの宮崎監督に対する深い尊敬の念がにじみ出ていていました。そんな、宮崎監督の手法に感化されたニック・パークがすでにアカデミー賞を2度も受賞している「ウォレスとグルミット」シリーズの長編を出してきたのですから…、旗色が悪いですよ、これは…。そしてトドメは、WOWOWのアカデミー賞特集の中で見つけたこの記事です。なんと、「ジブリの鈴木プロデューサーは授賞式の前に『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』が賞をとるよう応援していると言っていた」んだそうなのです。これも、「宮崎駿vsニック・パーク スペシャル対談」の中に書かれていたのですが、スタジオジブリとアードマン(ニック・パークのスタジオ)との間には、三鷹の森ジブリ美術館(一度行ってみたい~!)にて「アードマン展」を開催するなどの深い交流があるとのこと。うーん、さすがはスタジオジブリ。オスカーなんか眼中に有りませんか!もっとも、「ウォレスとグルミットのコンビが、野菜畑を荒らすウサギたちと抱腹絶倒のバトルを繰り広げるクレイアニメーション」の方が、少し小難しい『ハウルの動く城』よりアメリカ人受けしやすかったかな?と思いますが。 そして、最後にオスカーを逃した私的な最大の理由は、 ということです。それはなぜかと言いますと、『ハウルの動く城』の中に散りばめられている「戦争」が影響しているのだと思います。アメリカはイラク戦争真っ最中。劇中最初の久石譲さんの「陽気な軽騎兵」のマーチのもと行進する歩騎兵のきらびやかな出陣のパレードや、港から出航するする艦隊などは、良いのですが問題はその後です。 まず、軍艦ボロボロの満身創痍でしかも単艦で寄港してきます。それに追い討ちをかける敵の飛行軍艦の空爆と戦意喪失を狙ったビラ攻撃(海軍大好き人間にとって、軍艦が満身創痍でヨタヨタと帰港する姿には胸が痛みます)。そして、これがアメリカ人にはいちばん良く理解できないor理解したくない、ソフィーの街を襲う敵飛行軍艦の空襲のシーン。映画館でこれを見た時、直感的に「この映画はヨーロッパでは大反響だけど、アメリカでは受けないぞ」と思いました。この空襲のシーンは宮崎監督ご自身の経験も加味されているそうで、すごくリアリティがあります。そこがポイントなのです。この映画、敵国から空襲を受けたことのある国の人にとってはすぐに感情移入できる映画なのですが、空襲をしてばっかりのアメリカさんにとっては「WHY?」といった感覚か、気分を害するか、どちらにしろ余り良い印象を与えないと思います。例えば、原作者ダイアナ・W・ジョーンズ女史の住むイギリスは第一次・第二次世界大戦でドイツに散々空襲を受けましたし、ドイツも第二次世界大戦でドレスデン大空襲のような日本の東京大空襲並みの無差別攻撃を浴びていますし、フランスやイタリア、スペイン(第二次世界大戦中は中立国でしたが、その前のスペイン内戦でやられました。ピカソの『ゲルニカ』で有名でしょう)。 なんだか、感傷的かつ心理的で取り留めのない理由ですが、アカデミー賞を逃した理由では無くても、アメリカでヒットしなかった理由にはなるのではないでしょうか?先にオスカーを取った『千と千尋の神隠し』は、実はアメリカ人が大好きな「現代的な少女の成長を描いたファンタジー」ということで、アメリカ人のたちの共感を得ました。アメリカ人は「友情・成長・正義」という言葉にメッポウ弱い、単純な大衆が意外と多いのです(ただ、その大衆=国民を操る政治家や企業人が世界で一番のやり手なのでアメリカは世界一の大国なのです。一人一人の知識の質・量では日本人や沿岸部の中国人の方が遙かに上なのですがね)。 脱線ついでにもうひと言、書いておきますが、実はアメリカ人というのは日本人とは随分、感覚が違う国民なのです。例えば夏、蛍が川辺を飛び交う情景を見たとします。皆さんは、まず「うわ~、キレイ!」と思いませんか。ところがアメリカ人は「これが蛍か。はじめて見た」とか、「蛍は、なぜ光るのか」といった実際的と言いますか、非常にドライな見方、捉え方をするのです。つまり、あまり情緒というものに感銘を受けない国民なのです(偏見かも知れませんが…。でも。細かい所にや後先考えない、享楽的で現実主義的な側面があることは否定できないと思います。ただ、これはあくまで一般大衆ですよ)。 こんな感じで今日は、『ハウルの動く城』とアカデミー賞というキーワードから思いついたことをサラサラっと書いてみましたが、如何(イカガ)だったでしょうか? それにしても、ニック・パーク監督のあの性悪小動物たち、ペンギンとか今回のウサギどもとか、なんで監督はああいった可愛らしいものを悪役に配するのでしょうかね?まぁ、面白いからそれで良いのですがね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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