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カテゴリ:医療
8月下旬、マイケル・ムーアの新作、Sicko が日本に上陸する。Sicko とは、ビョーキという意味だそうだ。カタカナで書かれているのには意味があるのだろう。漢字で「病気」と言えば疾病のことで、英語なら disease だろう。カタカナの「ビョーキ」には、もっとアブナイニュアンスがある。 アメリカの医療の病巣をえぐる映画だそうで、つまり、アメリカの医療のビョーキの部分をテーマにした映画なので、Sicko と言う俗語の題名にしたと言うことらしい。でも、私はもう少し深読みしてみたい。 アメリカの映画監督であれば、当然日本市場を意識しているだろう。Sicko つまり「シッコ」が、日本語でどんな意味かくらい分かって使っていると見た。アメリカの医療と比べたら、日本の医療は天国だ。それなのに、日本人の80%以上が医療に不満だと言う。とてつもなく安い自己負担で、世界的にはあり得ないほどのフリーアクセスが可能でありながらだ。そんな恵まれた日本の患者に、「アメリカのような医療になってから、おしっこ漏らすなよ」と言っているように見える。 アメリカには公的医療保険がない。医療保険に入りたければ民間の保険に入るより仕方がない。貧民層は保険に入れないので、まともな医療は受けられない。中産階級なら大丈夫かというと、保険によって受けられる医療に限界があるので、まともな医療を受けられるとは限らない。その辺を描いた作品が Sicko なのだそうだ。 是非見てみたいと思っているのだが、地方都市の悲しさ、映画館がない。DVDになるのを待つしかないのだろうか。 アメリカにはほとんど社会保障制度がない。基本的に自己責任の社会なのだ。その代わり社会保障費の負担は少ない。平均すると所得の30%台だ。比較的社会保障の行き届いたヨーロッパでは、社会保障費の負担は50%を超える。スエーデンに至っては70%だ。 日本はどうかというと、国民皆保険でありながら、40%台だ。今の医療レベルを維持するだけでも医療費の相当の上乗せが必要だが、そんな財源はないだろう。消費税アップを言い出せば選挙にならないことはみんな知っているから、医療費のアップは夢のまた夢。医療崩壊の原因はいろいろあるけれど、文句は言うが金は出さない国民性もその一つだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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