公立病院や公的病院(日赤や済生会)が民間病院と比べて赤字になりやすいのには理由があります。民間病院が手を出さないような不採算部門にも関わらなければならないからです。また、支払い能力がなかったり、支払う意志のない患者も引き受けざるを得ないと言うこともあります。
実はもう一つ理由があって、民間病院は医師の給与は高くてもそれ以外の職員の給与は低く抑えられていることが多いのですが、公立病院は逆です。つまり、医師の給与は安いのですが、それ以外、特に事務員の給与が高いのです。職員の比率から言えば、医師以外の方が圧倒的に多いのですから、公立病院の方が人件費が高くなります。
とは言え、日本で病院の経営が苦しいのは、やはり診療報酬が国際レベルより圧倒的に低いからでしょう。国が診療報酬を決め、その国が赤字を作るなと言うのはマッチポンプというものではないでしょうか。
3年連続で70%超が赤字 損失額は2106億円 08年度公立病院決算
2010年3月29日 提供:共同通信社
地方自治体が運営する932公立病院の70・9%に当たる661病院が、経営不振のため2008年度決算で経常損失を出したことが26日、総務省の集計で分かった。赤字病院が70%を超えるのは3年連続で、損失額の合計は2106億円だった。
医師不足による診療体制の縮小で患者数が減少し、収入が落ち込んでいることなどが背景。損失を出した病院の割合は07年度比1・3ポイント低下、損失額は5・8%減少しているが、小児科や救急医療などの不採算部門を維持するため自治体が一般会計からの拠出金を増額したのが要因で、同省は「厳しい経営状況は変わらない」としている。
利益を出した271病院を含めても合計の経常収益は0・9%減の3兆9597億円。このうち柱となる料金収入は、病院数や患者数の減少などで1・9%減の3兆2202億円だった。
一方、経常収益にも含まれる、一般会計から病院への拠出額は4・2%増の5437億円で、自治体は財政難の中にあって地域医療の確保に向けて支援を拡充している。
職員給与などの経常費用は、病院数や患者数の減少に伴い1・2%減の4兆1442億円。公立病院全体の損益は1845億円の赤字だった。
こうした厳しい状況を受けて総務省は自治体に対し、赤字の公立病院は09年度から3年間で黒字化するよう要請。廃止や近隣病院との統合、民間譲渡、地方独立行政法人化などの取り組みが各地で進み、08年度末の公立病院数は前年度に比べ21減少。入院と外来を合わせた患者数は5・4%減っている。
※公立病院
地方自治体が特別会計を設けて運営する地方公営企業の一つ。小児科や産科、救急医療などの不採算部門を抱えている病院が多く、自治体財政を圧迫する要因となっている。2008年度末現在で建設中のものを除き932病院あり、内訳は都道府県が196、政令指定都市が43、市町村が590、一部事務組合が103。