かつては輝かしい海運国であったヴェネツィア。先週は造船所(アルセナーレ)を紹介したが,ここは楽しめるという場所がある。
ここは海洋史博物館。サン・マルコから海岸に沿って有名なホテル・ダニエリの前を通り,この海岸はスキアヴォーニの海岸(アドリア海の東のダルマツィア地方からやってきた船乗りの名前だったか)と呼ばれるのだが,そしてヴィヴァルディーが聖歌隊の指導をしていたというピエタ教会の前を過ぎ,すると左手に見えてくるのがこの博物館。建物はもちろん潟に面しているのですが・・・そしてこの建物の左脇を進んでいくと造船所がある,という位置関係ですが。
もともとはヴェネツィア共和国時代に穀物庫があったところ。ここでは15世紀から18世紀にかけての海運国としての歴史を学ぶことができる。石でできた大砲の弾丸など,武器あり,船の模型有りで,書物で見るよりもはるかに理解が深まる。写真はガレー船の模型。こうして外国から買ったスパイスなどを運ぶ。船乗りは場合によっては武器をとるのだから,兵隊でもある。アラブの奴隷とは全くちがう。彼らは自分の荷物も積み込むことができ,これを海外で売って稼ぐということも可能なのだ。帆船とは違い,ガレー船は船乗りが多いから人件費がかかる。だから安いものを運ぶのは帆船で,海賊に出会って仮に奪われても損失の少ない綿とか小麦とかを積み込むわけだ。
この博物館の最上階にはなんと高瀬舟や亀甲船の模型などもあって実に面白い。ヴェネツィアが海上につくった高速道路のいわば中継地である城壁で守られた町の様子やレパントの会戦の模様など地中海で起こったあれこれを知っている人にとっては,「あっ,これだ」と感動する展示物があるのだ。
ヴェネツィアに行ったら海洋史博物館,オススメです。