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9.11の話をしよう.
ハイジャックされた旅客機がニューヨークの世界貿易センター(WTC)の高層ビルに激突して,ビルが崩壊した,あの事件です.あれは米政府が仕組んだものだ,という説がある. 政治の世界を裏から見ると何でも陰謀のように見えてくる.そういう陰謀論を好む人は,憶測に憶測を重ねて,もっともらしいストーリーに組み立てる.もう泥沼です.だから多くの人は陰謀論を警戒する. 思うに「陰謀論」は何かの宗教に似ている.みごとに一貫した論理体系ができていて,その論理によって何でも説明できてしまう.これは科学の対極にあるシステムだとも言える.なぜなら科学は何でも説明できるというよりは,むしろ説明できないことが多いからです.「科学なんでも質問箱」みたいな企画に私がついて行けないのは,科学は何でも説明できるという思考があるように感じるからだ. 話をもとへ. 事件が起きたのは2001年9月11日.この9.11のビル崩壊は,飛行機の衝突による火災が原因とされている.しかしどうも釈然としない.そういう話を民放のテレビ番組で見たことがある. 米国では古いビルを解体するときに,爆発物を仕掛けてシステマチックに破壊するという手法がよくとられるらしい.そしてWTCビルの崩壊は,そういう「制御された爆破」によるビルの破壊とあまりに似ていた.この仮説?は昨年出版された1つの学術論文によって補強された. その論文とは, Harrit, N. H., et al. (2009) Active thermitic material discovered in dust from the 9/11 World Trade Center catastrophe. The Open Chemical Physics Journal, 2, 7-31. である.この雑誌は一般に開放されているらしく,ページにアクセスもできるし,掲載論文を自由にダウンロードできる.その内容は次の通り: 9.11のビル崩壊で周囲にまき散らされた灰を調べた.調べた4つのサンプルは,いずれも薄い小さな破片を含んでいた. その破片の片面は赤く,反対側の面は灰色.この赤い面は微細なアルミニウムの薄片と,酸化第二鉄の微粒子をちりばめていた. 話をはしょりますが,この赤い破片は未反応のサーマイト(テルミット)であるというのが,この論文の趣旨です. 恥ずかしながらテルミットという耳慣れない概念に戸惑った.微細な粒子(ないし薄片)にした酸化鉄と単体アルミニウムを混合して火をつけると,激しく反応して燃える.粒子(薄片)の小ささと量次第では,通常の火薬と同じような爆発を起こす.そして単体の鉄ができる. 通常のテルミットは発火点が900C(摂氏900度)以上であるのに対し,このテルミットは430Cという低温で発火した.つまり,高度な技術的改良が加えられている(アルカイダには造れない?). それに,水に溶かしておけば発火しない.水の温度は100Cが上限です.だから塗料と同じように壁に塗ったりスプレーしても大丈夫.しかし乾燥すれば,非常に危険な爆発物となる. そういう爆発物がどれほど含まれていたかというと,明らかなガラス片やコンクリート片を手作業で除去した残りの灰の0.1%(重量比)が,上記の破片(片面が赤,他面が灰色)であった.未反応のテルミットがそれだけあった. 上記論文の述べている範囲を越えて少し付け加えよう.第1に,上記は未反応ぶんだけの量だから,爆発したぶんを含めると,相当な量のテルミットがあっただろう.崩壊前のWTCビルは爆発物を満載した状態だったと言えるのでなかろうか.第2に,たぶん爆発物(テルミット)の存在だけでは「制御された爆破」は実現しない.爆発させる順序やタイミングなどがコントロールされねばならないし,その他いろいろの条件が必要である. それにしても,ビルを爆発物満載の状態にするという作業を,いつか誰かが意図してやったことは,ほぼ確実でしょう. NHKをはじめマスコミが世間一般に流布させている情報が,最近はあまり信用できないことは,多くの人が知っている.しかし,さすが 9.11の話となると,世間一般に流布している常識に異を唱えるのは少々はばかられる. そういう中,上記の論文は,確実な1つの新しい情報を提供している.これは科学論文であり,用いた材料や技術や論理はそれなりの検討を経ている.常識的な,あるいは思いつき程度の反論では歯が立たないでしょう. 科学は陰謀論ではない.だから,すべてを説明はできない.しかし,この論文は新しい時代の始まり,9.11の謎解明に向けた確かな一歩である. 追記. 私の苦手分野です.誤認や誤解が含まれている可能性は大いにある.お気付きの点があれば,コメント等でご連絡ください. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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