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今回も苦手分野です.
NHKが,ワーグナーの楽劇「ワルキューレ」をナマ放映するとのこと. それに先立って「トリスタンとイゾルデ」をやっていた.これは昨年だか一昨年だかの録画らしい.その感想を書いてみようと思う. と言っても私は全くのシロウトなので,その程度の「感想」です. オペラというのは音楽を楽しむものであって,姿かたちをとやかく言うべきものではないんだろうか? という強い疑問をもちました. そもそも舞台芸術というのは,観客は遠くから眺めるので,テレビ放映などで演技者をどアップで見せたりということがルール違反なのかもしれません.しかし,それだけではない.あの演出に私は全くついて行けませんでした. ヨロイやカブトをつけて槍でも持って,とまでは言わないけれど,そもそも出演者のコスチュームに違和感大いにあり.たとえば第1幕.アイルランドの王女イゾルデが船でコーンウォールまで運ばれる場面のはずなんだけど,みんな現代風の衣装で,イゾルデ姫などはニットのワンピースだぞ.あの体型であの服は最悪. お前は人の体型のことをとやかく言えるのか? というツッコミは別として... で,船の中の場面だけど,パイプ椅子が並んでいるだけ.その椅子を1つずつ丁寧に?ひっくり返しながら,イゾルデ姫がモンクをたれる. それにしてもあの赤みの強い髪の色はいったい何だ? アイルランド人は赤毛が多いというイメージ(俗説です)で作ったのか.それとも赤毛の女は怒らせたら大変だというアイルランドでよく言われる俗説を下敷きにしているのか? トリスタンの従者(クルヴェナール,でしたか)はスカートです.元の話(アーサー王物語)では登場人物はウエールズのケルト族なんだろうから,それは判ります.しかし何故この人だけケルトの衣装なんだという疑問が残る. 第2幕は衣装を変えて,出演者はビジネスマンふう.場面はどこかの会社の1室のような感じ.有名な逢い引きの場面では,パイプ椅子を2つ横に並べて,トリスタンとイゾルデが並んで座って歌うだけ. マルケ王の独唱の場面は「聴かせどころ」なんだろうけれど,やっぱり地味.私には難しすぎる.ただ,マルケ王は違和感が比較的少なかった. そして第3幕.ベッド?にトリスタンが寝ている.第2幕でナイフでメッタ突きされたので,死にかけてるんですね.そして再びマルケ王.いい奴だよなコイツ,と思わせる独白.作品の中でこの人の登場場面が意外に大きな比重を占めていることを発見?しました. 幕の始めのほうでトリスタンはベッドから跳び出して床に転がっている.代ってイゾルデがベッドに入っています.それが突如として起き出して「愛の死」を歌いはじめる.有名なアリアですね.すっくと立ち上がって元気一杯です.そして歌い終わるとベッドに横たわり,白いシーツを顔までかぶって,おやすみなさい,みたいな雰囲気.もう少し何とかならなかったものか,と思う. そんな事はオペラでは常識,と言われるかもしれない.私は常識のほうは知らないので,やっぱりアレじゃダメなんじゃないかと思う.王様は裸だ!と気づいて口に出すのは子供かシロウトで,お前には見えてないのだと言われれば,ハイきっとそうでしょう. というわけでビジュアル的には最悪の「トリスタンとイゾルデ」でした.しかし一言付け加えるならば,音のほうは素晴らしかった.特に第2幕の逢い引きの場面.ワーグナーと同時代のヴェルディが絶賛したという,あの第2幕です. 絵のほうはどうでもいいや.今度は音だけで聴いてみよう,と思いました. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
August 17, 2010 08:16:57 PM
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