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今回も福島原発の話です.マスコミの報道の聞きかじりなので,あまり信用しないでください.
各マスコミは連日のように「原子炉の構造」を,図で示しながら解説してくれた.内部の「圧力容器」と,それを覆う「格納容器」がある.格納容器の下端は「圧力抑制室」になっている.あるいは複数のパイプで「圧力抑制室」につながっている.圧力抑制室には水を貯めていて,圧力容器からの蒸気の一部を,この水中にブクブクと放出するようになっているらしい. 格納容器と圧力抑制室とでは,圧力の値が違うらしい.それとは別に格納容器本体内も,いくつかの室に区分されているらしい(どのTV局だかの解説で,そういう図を見た). 原子炉内の各「容器」や「室」の温度とか圧力が上がった,下がった,という報道は,ほとんど理解できなかった.室内が区分されているのなら,圧力は場所により違ってくる.原発の構造を説明する図に,圧力の測定値を書き込むだけで,ずっと具体的に理解できるはずだ.温度についても具体的な数値はほとんど報道されてない.「まだ水が残っている」とか「空焚き状態」だとか言っているけれど,まさか100C程度の温度ではないでしょう.圧力容器内の圧力と温度を数値で報道してくれなければ,危険の大きさを判断できない. 冷却のため水や海水を注入したと言うが,注入した場所は圧力容器か,それとも格納容器か? どういう経路で注入したのか,そのパイプが図示されてない. 水を注入すれば蒸気になるだろうから,それを逃がす仕組みが図示されてなければならない(格納容器からパイプが出ていて,それは高いエントツにつながっているらしい). メルトダウン(炉心溶融)が起こると大変だ,としきりに報道されている.メルトダウンとは,文字通り熱によって「溶ける」(融ける)ことだろう.で,融けてどうなるか? ちまたでは「臨界」の危険性を指摘する人もいる.「臨界」とはウランの核分裂が起きて,放射された中性子が別のウラン原子核に当って,またウランの核分裂をひき起こす,いわゆる「連鎖反応」が起こっている状態を言うらしい.そうなると確かに危険だ.チェルノブイリの再現である.ところがマスコミによると,「臨界」が起こる可能性は極めて低いとのこと. よろしい.メルトダウンが「臨界」をひき起こす可能性は極めて低い,と.では何が問題なのか? 炉の内部が高温高圧になって,炉が破壊されて大量の放射能が放出されるということか.ここでも具体的な温度,圧力,炉の強度などが数値で示されないと,危険性を冷静に評価できない. 抽象的に危機を指摘したり,逆に安全を強調することよりも,具体的な数値を出して冷徹に説明することが求められているように思う.科学的な報道を強く求めたい. 話題が少しズレるけれど,解説者の言葉尻も気になる.「~と思います」「~と見ています」といった表現が多い.思うも見るもアンタの勝手だけどネ,と突っ込みたくなる. 科学者が科学的な話をするときは,「~と見ている」「~と考える」などという能動的な表現はしない.いろいろな証拠を検討した結果,「~と思われる」というふうに受動態を使う.自分の意志で「思う」のでなく,結果として「思われる」のだ.言葉尻の違いだと言ってしまえばそれまでだけど,この違いは意外に大きい,と思います(笑). お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 18, 2011 04:17:00 AM
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