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「へなちょこ自然保護」からの転載です.
自民党の改正憲法案は,日本を戦争のできる国にするだけではない.他にも多くの問題点がある.その1つは,人権の扱いが軽いこと.自民党案の随所にそれが見られる. http://satlaws.web.fc2.com/0140.html が,とりあえず次の3点を指摘しておこう. 1. まず前文.現在の憲法は「日本国民は〜」で始まる.自民党案は「日本国は〜」となっている.国民より先に「国」がある.主人公であるべき「国民」は「国」よりも後に置かれている. 2. 基本的人権は,人が生まれながらに持っているもの,持つべきもの,というのが現憲法.それが自民党案では,人権は国が保証してくれるものになっている(たとえば第19条).しかも「権利には義務が伴う」と明言している(第12条).まず国があり,国籍があり,国民の義務があり,そのうえで「人権」が与えられるという仕組み. 私は逆だと思う.人は国籍以前に人であり,国籍とは無関係に人権が保証されねばならない.「権利には義務が伴う」など,どこかの校長先生の訓辞のような文面は,それだけで恥ずかしい.これが私たちの憲法です,などと自慢できるものでなくなってしまう. 3. 現憲法の「公共の福祉」が,自民党案では「公益及び公の秩序」に変っている. - 「公共の福祉」の「公」は「人々」のこと. - 「公益」や「公の秩序」の「公」は「国」のこと. 字づらは似ているが,意味は全く違う. 基本的人権を制限できる唯一の根拠が,現憲法では「公共の福祉」(人々の幸福).自民党案では「公益及び公の秩序」(国の都合). 国の都合によって個人の権利を制限できる.この「公益及び公の秩序」には,上限がありません.いくらでも拡大解釈が可能である.日本国軍の海外派兵や徴兵制と同様,この場合も「歯止め」がない.越えてはならぬ上限が明記されていない. 話は少し飛躍する. 警察検察の横暴が最近特に目につく.容疑者に自白を強要し,調書を作りさえすれば有罪にできると考えているらしい.その調書さえも偽物であった実例も散見される.「調書偽造」でグーグル検索してみればよろしい. 戦時中は,あらゆる卑劣な手段で「自白」に導き,それを根拠に犯罪者に仕立て上げて処罰した.こうして政府への批判を抑制し戦争を遂行した.戦後の法体系は,こういう歴史を強く反省したうえに再出発したのでなかったか? 私は高校の社会科で「自白は証拠にならない」と教わりました.いま日本の法律を牛耳るプロフェッショナルたちは,この原則を忘れているように見える. つい先日も国連の拷問禁止委員会で,「日本の司法制度は自白に頼りすぎだ.中世のようだ」と言われ,日本の大使が「シャラップ」と叫んだらしい.礼儀もヘッタクレもない.こういう人が「大使」とは,同国人として恥ずかしい. とにかく,これほどまでに日本の制度は,世界基準からハズれている.そういう現状がある. しかも「秘密保全法」や「マイナンバー法」など,トンデモな法律が次々と国会にかけられ,通過している.従来は小さな違反であったものを「厳罰化」することになったという類のニュースは,もう聞き飽きた.これら全ての変化が,警察検察の権力の拡大膨張という大きな流れを作っている.このうえ憲法まで改正したら,どのような国になるか想像できるだろうか? 警察の権限ばかりが強い警察国家.それが本当に我々の目指すべきものだろうか.国の方針に対し批判を許さないような強い強制力は,もちろん徴兵制の執行にも好都合である.まさに「戦前への回帰」そのものである. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 19, 2013 02:37:54 AM
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