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カテゴリ:日本語

 日本語講座のむずかしさ(2) 基本的な了解がない

 5段階の標準を設定して文章を分析してもらうと、その分析以前の問題として、基本的な了解があまりにもなさすぎることに驚かされる。

 たとえば、トラドキスタンの講座では「医学薬学標準」というものを検討している。これはトライアリストの講座で考案され、「医薬A」と呼ばれてきたもののうち、日本語の基本的な問題を別にして、それを踏まえたうえで医学薬学の文献を翻訳するときに必要なものだけを残そうという試みである。
 医薬Aは医学薬学の文献を翻訳するさいの文体を体系化したものであると同時に、学習過程のある者に対する戒めをこめたものでもある。
 医薬Aを設定したときには、5段階の標準設定はなかったわけであるが、実際に仕事をすることを前提としているかぎりは、少なくともA標準の問題までを扱ったものであることは容易に想像がつく。
 そうすると、たとえば表記の統一、漢字かなの書き分けなどは、いったいどの段階に相当するものであろうか。おそらく見解が分かれるにちがいない。学習者はどうも、そういうことの重要性がわかっていない。表記の統一はいったい、O標準の問題なのか、それとも、M、Bか、はたまたAの問題なのか。
 はっきりとした答えは出ていない。本来そこから出発するべき問題なのに、学校教育に慣らされてしまった者たちには、「先生」にはちゃんと答えがあって、自分たちがそれを「当てる」ことができるかどうかを試されていると思えるものらしい。
 答えというものは、自分で考え、自分で見つけるべきものなのである。
 ところが、そういうことを言ってしまうと、今度は何をどう考えてもいいと思ってしまう人がいる。
 たとえば、野球なら野球で、どんな戦略で戦おうと(あとで作戦そのものを非難されるかどうかは別にして)チームの自由であるが、ルールに反することはできない。
 それと同じことで、表記の統一をM標準の問題と考える人がいてもB標準の問題と考える人がいてもいっこうにかまわないが、O標準が日本語の免疫機構にかかわる問題であると定義されているかぎり、これをO標準の問題であると答える人がいては困るのである。
 漢字かなの書き分けは専ら日本語の問題であり、漢字とかなを併用している言語は(かつての韓国語を除けば)ほかにない。したがって、他の言語の影響によってそこに異物が紛れ込むことは絶対にありえない。

 もうひとつ、医薬Aには、学習途上の者が「練習の過程で」守るべき注意が含まれている。「かもしれない」、「~にもかかわらず」、「べきである」、「すなわち」などを使わないように指示しているのは、学校英語の公式を機械的に当てはめても意味がない(むしろ有害である)から、文全体のニュアンスをよく考えて訳してもらうためのものである。
 それにもかかわらず(なんて、書いちゃうと、「自分は使ってるじゃないか」と言われそうだが、無条件で使うのは10年早いということであって、絶対に使ってはいけないといっているのではない)、「すなわち」は医薬Aでは用いないと書いてくる人がいる。問題があるから、用いないように指示しているのであって、問題そのものに言及せずに、「禁止されている」ということにしか意識がいかなければ、勉強そのものの意味がなくなってしまう。
 「『すなわち』とは上のものを受けてそれを具体的に言い換えたり(中略)であるが、ここでは問題点が列挙されているだけである」という答案があった。これならよい。
「~は3点ある。すなわち、○と□と△である」などと、実に安易な使い方をする人がいる。さらには、うまく表現できないことがあると、すぐに「すなわち」、「つまり」に逃げる人がいる。それでは上達しない。だから、10年くらいは「すなわち」、「つまり」を使わないで文を書く練習をしてみなさいというのが、医薬Aの意図なのである。
 ちなみに、この人は先ほどの「すなわち」をM標準の問題であるとしていた。Bと考えてもいいかと思えるが、本人が日本語として「不健康」であると判断したのであれば、それはそれでりっぱな回答である。
 枠組みだけは尊重しつつ、そのなかで柔軟な思考ができる。
 困難な道ではあるが、少しずつ前に進んでいるという手ごたえはある。

 
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最終更新日  2007年04月13日 10時24分02秒
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