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2007年05月14日
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カテゴリ:日本語

 ことばは本来、庶民主導型であるべきだ。そこに本当の意味で言語の本質がわかった専門家がさりげなく出てきて、ちょっとしたルールを作ってやるのがいちばんいい。

 ところが、今ではそれがマスコミ主導型、知識人主導型になってしまっている。
 彼、彼女にしても、日本語に英語をはじめとするヨーロッパ言語の三人称の代名詞をもちこもうとする試みはすでに破綻している。
 これなどは、知識人が頭で考えてやったことが、日本語というシステムにそぐわないところがあって、そのままではシステムが機能しなくなるので、知識人のしでかしたへまを庶民が尻拭いしている感が強い。

 知識人のへまを庶民が尻拭いする。

 furtherひとつまともに日本語に翻訳できない無能な知識人が、あたかも昔から存在した日本語であるかのように捏造した「さらなる」も、今後10年ほどの間に庶民がどういうかたちで尻拭いするか、今から楽しみである。もちろん、庶民のなかにはマスコミの影響で節操もなく「さらなる」を使っている者もいるが、それもまた庶民であって、何かのきっかけがあればすぐに別の方向に動くようになる。
 ヨーロッパ言語の三人称代名詞をそのまま移植しようとした知識人の目論見は、このふたつが単に恋人の意味で使われるようになっただけでなく、「あそこの帽子かぶった彼」や「その彼女が」など、およそヨーロッパ言語では考えられない言い回しが生まれたことによって、無残な失敗に終わったと言える。
 そればかりではない。現代人が敬語が使えなくなったと嘆く御仁のなかに、この忌まわしい人称代名詞との関係に注目する者はほとんどいない。
 敬語なら敬語、人称代名詞なら人称代名詞がそれぞれまったく切り離されたかたちで機能するなんてことは、言語学的にありえないことで、両者は連動して機能している。
芥川賞作家が率先して「父がアメリカに着いたとき、彼は2つの単語しか知らなかった」などという文を書き、動物まで「彼ら」で受けるようなご時世になっては、もはや敬語が存続する余地は残されていない。
 敬語を存続させたければ、彼、彼女を追放するしかない。
何が何でも彼、彼女を追放せよと言っているのではない。敬語を取るか、舶来の三人称を取るか、どちらかひとつしかないと言っているのである。
 それからもうひとつ。もともと、人称代名詞なんてものはほとんどが1音節かせいぜい2音節、ごくまれに3音節のものもあるが、本来1音節が基本である。だからこそ、人称代名詞として機能するわけで、庶民は意識はしていなくても、そういうことを本能的に知っている。知識人が頭で考えたものは必ず、その庶民の本能的な感覚の前にしっぺ返しを受ける。

 たとえば、「今年に入ってからも、家庭内での殺人事件が相次いで報道されました。そのすべてが、~に欠けた人たちが引き起こした事件でした」という文を見ると、庶民の目はたちまち「そのすべてが」の異質性を捉える。直観的に浮かんでくるのは「どれもみな」である。
当然、日本語の母語話者には「今年に入ってからも、家庭内での殺人事件が相次いで報道されました。どれもみな、~に欠けた人たちが引き起こした事件でした」でないと、読んだ瞬間にピンとこない。「そのすべてが」とあっても瞬間的にわかると言うのは、相当英語に毒された人たちだけである。
 庶民の違和感はどこから来るか。「すべて」に「その」はつかない。それが母語話者の正常な感覚である。
 ところが、いったん英語を勉強してしまうと、all of these ~というかたちがあるので、つい「そのすべてが」と言えそうに思えてくる。
「そのことごとくが」はあるが、「そのすべてが」はありえない。

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最終更新日  2007年05月14日 17時43分43秒
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