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2017年04月26日
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カテゴリ:漫画・アニメ
★ 『崑崙の珠』 長池とも子 (1992~2003年)



電子書籍無料版およびレンタルにて、全17巻 読了。


古い時代の中国を舞台に、妖や魁 (ばけもの) に取り憑かれた人々を救う、半妖の道士と風神の旅を描いた作品。


正直なところ、「妖」 ものや 「祓い屋」 系の類の漫画には ちょっと飽きてきて、一巻無料で読んでも、続きを読む気にならないものも多い。


長池とも子さんの作品は初めてだが、作画は (好き嫌いは分かれそうだが) まあまあ上手いし、時代不詳の、なんでもありのファンタジーとは言え、中国の古典や風習などはよく調査して描いている感じがして、好感は持てる。 各エピソードもありきたりな印象はなく、面白いは面白い。


ただ、ペンタッチや表現方法 (余白の少ない背景など) が、若干、古くさい上に、ネーム (セリフやモノローグ) が多くて、読みやすいとは言い難い。

好意的に言うと、限られたページ数の中に 情報を無駄なく詰め込んでいる感じで、事件の解決と同時に割合あっさり終幕してしまうところは 『百鬼夜行抄』 (今市子) の作風にも似ている。


正直、一話完結のエピソードが多い前半は、後味の悪い話も多く、 「面白いけど、ものすごく続きを読みたいとも思わない」 という印象だったが、徐々に主人公の道士や風神自身の過去や、肉親との葛藤を描くエピソードが増えるにつれて、泣ける場面や、後を引くような感動も得られるようになってくる。

本筋 (主人公自身のストーリー) が進んだかと思うと、関係ない読み切り話に戻るところは、 『名探偵コナン』 ほど極端ではないにしろ若干焦らされるが、各話の読み始めの段階では、本筋なのか脇道なのか分からないところなど、ある意味、作者の高度なセンスを感じさせられた。


不老不死の道士と風神との、男同士の絆や、時系列が遡ったり戻ったりする手法を見ていると、中国風 『ポーの一族』 (萩尾望都) を意識したのかな、という感じもする。

…まあ、雰囲気も感動も、本家本元には及ばないし、少々古い作品とは言え、Amazon でのレビューの少なさは寂しい限りだが、最近、描写がダラダラと冗長で、引き延ばしとも取れる長編ファンタジー漫画が増えている中、巻数分の読み応えは十分あると思う。




<関連日記>
2012.3.29. 萩尾望都 『 マンガのあなた・SFのわたし 』…… 天才は一日にしてならず

2013.2.28. 竹宮惠子 『 天馬の血族 』…… 大作家 最後の大長編 (?)

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2016.1.28. 可歌まと 『 狼陛下の花嫁 』…… ヒロインがフツー過ぎて、逆に新鮮


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2017.3.4. 三浦建太郎 『 ベルセルク 』 ・・・ 「バトル漫画」 の一言では片付けられないメッセージ性









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最終更新日  2017年04月26日 22時51分33秒
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