|
カテゴリ:漫画・アニメ
★ 『崑崙の珠』 長池とも子 (1992~2003年)
電子書籍無料版およびレンタルにて、全17巻 読了。 古い時代の中国を舞台に、妖や魁 (ばけもの) に取り憑かれた人々を救う、半妖の道士と風神の旅を描いた作品。 正直なところ、「妖」 ものや 「祓い屋」 系の類の漫画には ちょっと飽きてきて、一巻無料で読んでも、続きを読む気にならないものも多い。 長池とも子さんの作品は初めてだが、作画は (好き嫌いは分かれそうだが) まあまあ上手いし、時代不詳の、なんでもありのファンタジーとは言え、中国の古典や風習などはよく調査して描いている感じがして、好感は持てる。 各エピソードもありきたりな印象はなく、面白いは面白い。 ただ、ペンタッチや表現方法 (余白の少ない背景など) が、若干、古くさい上に、ネーム (セリフやモノローグ) が多くて、読みやすいとは言い難い。 好意的に言うと、限られたページ数の中に 情報を無駄なく詰め込んでいる感じで、事件の解決と同時に割合あっさり終幕してしまうところは 『百鬼夜行抄』 (今市子) の作風にも似ている。 正直、一話完結のエピソードが多い前半は、後味の悪い話も多く、 「面白いけど、ものすごく続きを読みたいとも思わない」 という印象だったが、徐々に主人公の道士や風神自身の過去や、肉親との葛藤を描くエピソードが増えるにつれて、泣ける場面や、後を引くような感動も得られるようになってくる。 本筋 (主人公自身のストーリー) が進んだかと思うと、関係ない読み切り話に戻るところは、 『名探偵コナン』 ほど極端ではないにしろ若干焦らされるが、各話の読み始めの段階では、本筋なのか脇道なのか分からないところなど、ある意味、作者の高度なセンスを感じさせられた。 不老不死の道士と風神との、男同士の絆や、時系列が遡ったり戻ったりする手法を見ていると、中国風 『ポーの一族』 (萩尾望都) を意識したのかな、という感じもする。 …まあ、雰囲気も感動も、本家本元には及ばないし、少々古い作品とは言え、Amazon でのレビューの少なさは寂しい限りだが、最近、描写がダラダラと冗長で、引き延ばしとも取れる長編ファンタジー漫画が増えている中、巻数分の読み応えは十分あると思う。 <関連日記> 2012.3.29. 萩尾望都 『 マンガのあなた・SFのわたし 』…… 天才は一日にしてならず 2013.2.28. 竹宮惠子 『 天馬の血族 』…… 大作家 最後の大長編 (?) 2013.3.5. 緑川ゆき 『 夏目友人帳 』…… 妖との戯れの中に描かれる 美しき 「情」 2013.11.11. 漆原友紀 『 蟲師 』…… 「極秘プロジェクト始動」 だそうです 2013.11.15. 今市子 『 百鬼夜行抄 』…… 「演出」 に難あり 2015.4.23. 和泉かねよし 『 女王の花 』…… ラブコメ作家のイメージを払拭する 中華ファンタジー 2015.10.20. 伊藤悠 『 シュトヘル 』…… 殺戮の時代に 「文字」 が持つ 真の役割と救い 2016.1.28. 可歌まと 『 狼陛下の花嫁 』…… ヒロインがフツー過ぎて、逆に新鮮 2016.7.7. 明治カナ子 『 坂の上の魔法使い 』…… ジャンルに囚われず読んで欲しい ファンタジー佳作 2016.10.12. すもももも 『 後宮デイズ 七星国物語 』…… 今ひとつ盛り上がれない理由とは? 2017.3.4. 三浦建太郎 『 ベルセルク 』 ・・・ 「バトル漫画」 の一言では片付けられないメッセージ性
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年04月26日 22時51分33秒
コメント(0) | コメントを書く
[漫画・アニメ] カテゴリの最新記事
|