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カテゴリ:漫画・アニメ
★ 『 べしゃり暮らし 』 森田まさのり (2005~15年)
電子書籍無料版およびレンタルにて、全19巻読了。 「お笑い芸人」 を目指す若者らの葛藤や友情を描いた作品。 森田まさのり作品は 『ROOKIES』 以来、私にとっては2作目だが、相変わらず (上手いし 嫌いではないけど) 古くさい絵柄、そして何より、ストーリー構成のスタンスが どこか古くさい。 最初のうちは 主人公がお笑い芸人になるまでのサクセスストーリーの様相で、どちらかと言うと、「どうしたら芸人になれるか」 「どうしたら人を笑わせられるか」 のハウツー的な描写が多いのだが、徐々に主人公の家族や友人、他の芸人周辺にスポットライトが当たるようになると、「お笑いに賭ける人々の群像劇」 のようになっていく。 作者のスタンスは、全編通して、基本 「浪花節」 だ。 正直、陳腐と感じるエピソードも多いが、まんまと泣かされてしまうところは、やはり 「上手い」 と思う。 ただ、主人公以外のキャラの心情や葛藤を丁寧に描くのは悪くはないし、心理描写自体にも共感はできるのだが、巻を追うほどにエピソード (出来事) が過激になり、それら全てを 「綺麗に丸く収め」 ようとするので、いくら芸能界の話とは言え、ちょっと 「リアリティに欠ける」 と言わざるを得ない。 『花に染む』 (くらもちふさこ) の感想で、「人間関係全てに けりをつけないのがリアルだ」 と書いたが、その意味では、対極の姿勢と言える。 登場人物の悪行や失態に対しては、一つ一つ理由をつけ、甘ったるい解決に導こうとする。 女性キャラに関しても、魅力はあるが、「ダメな男にとって都合のよい」 タイプばかりで、その点も含めて、ちょっと古い少年漫画のノリを引きずっている感じがした。 途中から主人公の影が薄くなり過ぎ、それを引き戻す為か、終盤、限度を超えて 「漫画的」 な展開になり、若干シラケてしまう場面もなきにしもあらずだったが、最終的には、感動的に うまくまとめたな、と感心した。 また、作者自身がお笑いをよく研究しているようで (実際、吉本興業の養成所に入学し、実地で取材したらしい)、セリフや漫才のシナリオの部分も、実際に かなり笑える。 ジョークのセンスを学びたい人には、案外、本格的に勉強になる作品だと思う。 <関連日記> 2015.9.23. 森田まさのり 『 ROOKIES 』…… 滅多に存在しないからこそ 求めてしまう 「熱血教師」 という虚像 2017.3.15. くらもちふさこ 『 花に染む 』 ・・・ 人間関係に 「けりをつけない」 のがリアル
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最終更新日
2017年06月28日 23時17分57秒
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