「デルフトの風景」「ミルクを注ぐ女」で知られる画家フェルメールの作品を特徴づけているのはその美しい青色で、「フェルメール・ブルー」というコトバがあるほどだ。現代の油絵では主としてコバルトの青を用いるが、フェルメールの時代にはまだコバルトがなかった。それでアフガニスタンに偏在するラピスラズリ石から取り出したウルトラマリンが使われたが、その名の通り「海を越えてくる」材料だけにとにかく高価で、青にこだわるフェルメールが寡作家だったのもそれが理由ではないかとも言われる。つまり、フェルメール作品にはコバルトが含まれていないのである。
ウルトラマリンを日本語で言うと「群青」。今は人工のものもあり、天然の物も比較的入手しやすくなったので、取り立てて珍しい画材ではない。ちなみに日本画には「岩群青」という青色の絵具があるが、これはアズライト(藍銅鉱)のこと。実は日本は、青に恵まれた国なのである。
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Last updated
2019年11月30日 11時52分10秒
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