昭和39年(1964)に公開された「博士の異常な愛情、又は私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか Dr. Strangelove Or : How I Learned To Stop Worrying And Love The Bomb」は、スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick 1928-1999)の傑作。余りにもタイトルが長すぎるので、通常は「博士の異常な愛情」と省略形で呼ばれる。この英題は「ストレンジラブ博士、又は…」と訳されるべきだが、邦題と原題は一致しないケースがよくあり、配給会社の考え方しだいということになる。
核戦争による人類滅亡の危機という緊張巻あふれるテーマを、皮肉たっぷりのブラックコメディに仕上げたキューブリックの手腕が素晴らしい。上映時間93分のモノクロ作品だが、全体にキビキビしていて、古さを感じさせないのは流石だ。それもこれも、米大統領・英国軍人・ストレンジラブ博士の三役をこなすピーター・セラーズの、迫真の演技力があってのことだろう。メイキングにもいろんなエピソードがあり、奥深い作品と言うことができる。