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中国を統一した中華人民共和国は、毛沢東の下引き続いて中国の統治に当たり、英国の占領下にあるいくつかの都市の返還を迫って行く事になった。日本軍がかつて占領した地域を英軍が占領したため、国民党を併合した際に英領となった地域があったのだ。
スターリンにとって、ユーラシア大陸において史実以上の影響圏を得た事は、すでに満足すべき結果であると言えた。しかし、スターリンの猜疑心はいまだ収まりを見せなかった。 中国から引き揚げて来る主力部隊がモスクワ等諸都市での戦勝パレードを行っている頃、スターリンはモロトフとジューコフをクレムリンに呼びつけた。 1947年1月15日 モスクワ クレムリン 破壊王 J・V・スターリン 「ビバ、第三次世界大戦! 冷戦なんて知らねぇ、俺の頭にあるのは直接戦火を交える事だけだ!」 赤軍参謀総長 ゲオルギー・ジューコフ 「え、本気ですか、同志!?」 外務人民委員 ヴィヤチェスラフ・モロトフ 「冗談でしょう? むしろ冗談だと言ってくれ」 「いや、本気だし」 「しかし、米英軍を敵に回すのはどうかと・・・」 「日本と戦火を交えている今、どうせフランスでも占領すれば和平を申し出て来るだろうよ。それに、英国はインドとパキスタンを独立させた事で国力を大きく損ねている。強敵とはなりえない」 1947年1月2日、英国はインドとパキスタンの民族運動の高まりを抑えきれず、独立を承認。これにより、国力の3割を失っていた。 「同志モロトフ、開戦の口実は任せる。ただ、宣戦布告する相手はオランダにしろ。そうすれば、自動的に他の連合国と戦争状態になるが、米英との関係を悪化させる可能性は低い」 「・・・はい、偉大なる同志、スターリンの仰せのままに」 開戦日時は、1947年4月とされた。 1947年4月8日 オランダ領ドイツ ハンブルク オランダ軍兵士A 「おい、あれを見ろ」 夜明け前から歩哨に立っていた彼の眼の前に広がっていたのは、数えきれない戦車や歩兵、装甲車といった、赤軍の異形だった。 オランダ軍兵士B 「大変だ、ソ連が攻めて来た」 国境沿いに待機している赤軍の兵力が、すでにオランダ軍に対処しきれる数を超えている事は前線の兵士たちなら皆知っていたが、本国では相変わらず楽観論が支配的であった。しかし、それは理想にしか過ぎなかったのである。 赤軍は機械化戦術ですぐさま旧ドイツからオランダ軍を排除し、傀儡政権をドイツに樹立した。 薄々気づいていた米英国首脳陣は驚きを見せなかった。そして英国では政権交代が起こった。 かつて対独戦で英国の戦時体制を指導したチャーチルが、再び首相の座に就いた。しかし、チャーチル以外の人間はまだ楽観していた。米英国ではなくオランダに宣戦布告したため、ソ連は本気ではなく、ドイツ領を回復すれば講和条約を結ぶだろうと踏んでいたのである。だが、それは淡い希望でしかなかった。そしてそれを思い知るのは、ソ連の起こした二つの事件によってであった。 旧ノルウェー領ベルゲンから放たれたICBMが、英国首都ロンドン、米国首都ワシントンD.C.に着弾。両都市のICや資源産出に多大な被害を与えたのである。両国世論はたちまち沸点に達し、ソ連批判が活発化した。また、本国からは遠いため、赤軍には本国を攻撃する手段はないという甘い考えを持っていた米国首脳の考えは容易く打ち破られ、何らかの対応を迫られる事になる。そして、二つ目の事件が起こる。 中立国ベルギーへの突然の宣戦布告。強固なマジノ線に国防のほとんどを委ねていたフランスは、これで窮地に陥った。このベルギー侵攻作戦は、かつてドイツが進めていた対フランス攻略作戦の焼きまわしにすぎなかったが、7年の年月を経てかの国の敵国であるソ連が光を当てる事になると言うのは、皮肉な話であった。 オランダ、ベルギーは史実でのドイツ軍を相手にした様に席巻され、本国を失った。さらには、ベルギー国王レオポルト3世が赤軍に捕らえられるという事態も生じ、連合軍の面目は丸潰れになった。 ソビエトはオランダ、ベルギーの一部をフランドル王国として独立させた。この国王にはレオポルト3世が就任し、レオポルト3世は非難の的に立たされる事になる。 8月にはフランス本国を占領した赤軍は、連合軍の攻撃を受け窮地に陥っていた中国の援護に乗り出した。11月には重慶に次々に援軍が到着し、海沿いに進撃を続けていた米英軍の側面から攻撃を開始、戦線を崩壊させたところで1947年を終えた。 フランス戦線において、米ソ両国はジェット戦闘機を投入。新たな戦争の登場を予感させた。ICBMやそれらの兵器の登場により、戦争は新たな局面を迎えて行く。ソ連の暴走によって始まった第三次世界大戦は数年後終幕を迎えるが、米ソ両国の対立は世界を二分して行く事になるのである。 完。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.08.27 14:30:42
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