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鳥海摩耶

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非常口

Twitterアカ。ブログ情報他、アニメ、ゲーム、ラジオの感想等呟いております。
2012.11.20
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カテゴリ:HoI2AAR
 アイゼンハワーの意志はあくまで避戦であった。ところが、民主主義者や自由主義者たちから求められたアメリカの役割は、反ファシズムの旗頭として「悪の枢軸国」に鉄槌を下すことであった。リッジウェイが実施した軍拡も相手を見ながらの探り探りのものだったにも関わらず、世界の人々の目にはそう映らなかった。何故なら、アメリカはこれまで圧倒的な力でその地位を得たためである。

 それはドイツ第三帝国も同じだった。ヒトラーは総統の座に着き、敗戦の屈辱に苛まれていたドイツ第三帝国の国民たちを鼓舞し、叱咤し、時には脅しながら、フランス、ソビエトを打倒したのだ。

 米独双方にプライドがあり、同盟の盟主として果たすべきことが多すぎた。ちょっとした疑惑は「未知」という触媒を得てすぐに大きな猜疑心へと変わって行き、やがて双方の信頼は失われて行った。

 アイゼンハワーはそうしたプレッシャーに焦りを感じながら、1953年暮れからヒトラーに対し公式非公式を問わず軍縮条約の話を持ちかけていた。アイゼンハワーは妥協する姿勢も見せたが、ヒトラーは更なる譲歩をアメリカに迫るだけで交渉の場が設けられることはなかった。この事実はすぐさま世界中に広がり、お互いの闘争心には再び火が灯っていた。利に聡い議会は次々にアイゼンハワーの避戦の方針に有形無形の批判を浴びせた。

 この情勢に至って、アイゼンハワーは世界の覇権を争う3回目の世界大戦を起こすことを望まれているのだと意識せざるを得なかった。それを避けるのが自分の使命であると考えていたのだが、その希望は無残にも崩れ去った。アイゼンハワーに残された道は、アメリカという国家を世界で唯一の超大国に伸し上げることだけだった。



1954年3月1日 ワシントンD.C. ホワイトハウス

マシュー・B・リッジウェイ.jpg
「・・・以上が、現在の我軍の展開状況、枢軸国の推測される部隊配置になります」

ジョージ・C・マーシャル.jpg
「大統領。お解りの通り、枢軸国はいつでも戦争が起こってもいい体制にあります」

リチャード・M・ニクソン.jpg
「申し訳ありません、力が及ばず・・・」

ドワイト・D・アイゼンハワー2.jpg
「・・・いや、全ての責任は私にある。風向きがあれでは難しかろう・・・。それで、重大な要件とは何かな?」

リチャード・M・ニクソン.jpg
「・・・決断の参考になれば、と思いまして」

マシュー・B・リッジウェイ.jpg
「昨日、ロスアラモスにおいて、原子爆弾の製造工場の建設が完了致しました。すぐにでも、量産に移れます」

ドワイト・D・アイゼンハワー2.jpg
「何だと!?」

ジョージ・C・マーシャル.jpg
「報告が遅れ申し訳ありませんでした。しかし、予算はもう先々代の大統領の頃にプールされていましたので・・・」

ドワイト・D・アイゼンハワー2.jpg
「馬鹿者! そんなことが理由になるか! 何故言わなかった!?」

リチャード・M・ニクソン.jpg
「大統領の考えておられる戦略に狂いが生じては、と思いまして。それに、すでにある程度は耳にされていたのでは?」

ドワイト・D・アイゼンハワー2.jpg
「確かに、核兵器の開発は耳にしていた・・・。だが、対日戦終了が想定より早まったため計画は放棄されていたと聞いていたんだ!」

ジョージ・C・マーシャル.jpg
「はい、その通りです。ですが、独英ソなどが核開発に着手していたため、極秘に再開されていたのです」

マシュー・B・リッジウェイ.jpg
「ちなみに、知らされていたのは軍上層部と閣僚の一部だけです。トルーマン前大統領も、ご存知ではありませんでした」

ジョージ・C・マーシャル.jpg
「大統領にお知らせしなかったのは、同盟諸国にすら知らせないためでもあったのです。ご理解下さい」

ドワイト・D・アイゼンハワー2.jpg
「・・・もう、いい。それで、ドイツの核開発状況は?」

マシュー・B・リッジウェイ.jpg
「各情報機関の調査によれば、1960年までには実戦配備の見込みだそうです」

リチャード・M・ニクソン.jpg
「このままでは核戦争になりかねません。それは世界の破滅にも繋がります」

ジョージ・C・マーシャル.jpg
「大統領、今しかないのです。ヒトラーを打倒しましょう!」

リチャード・M・ニクソン.jpg
「世論も、世界も、それを望んでいるのです。それは大統領が一番自覚しておられるはず」

マシュー・B・リッジウェイ.jpg
「大統領、ご決断を!」

ドワイト・D・アイゼンハワー2.jpg
「・・・ここまでお膳立てされては、止められんか・・・。よろしい。今後3ヶ月以内に準備を整え、完了次第、ドイツ第三帝国に対し・・・宣戦布告する」

リチャード・M・ニクソン.jpg
「・・・かしこまりました」

ジョージ・C・マーシャル.jpg
「早速、戦時体制に移らせます」

ドワイト・D・アイゼンハワー2.jpg
「頼んだぞ。この戦、負けるわけにはいかん」

マシュー・B・リッジウェイ.jpg
「もちろんです。全力を尽くします」



 アイゼンハワーが開戦を決断してからのアメリカ政府の政策は、戦時体制に移行して行った。軍はすぐにでも作戦行動に移ることができても、民間はいまだ平時体制だったためである。また、反ファシスト法の制定も世論の追い風の中決まった。治安維持法、言論統制法とも取れる法律は、アメリカ国内のスパイ狩りに大きく貢献した。

 しかし、アメリカ国内の情報網が壊滅状態に陥った枢軸国が反ファシスト法を見逃すはずもなかった。ヒトラーやムッソリーニは「彼らの方がよっぽどファシストだ」などとアイゼンハワーを攻撃。枢軸国各国では反米デモが相次いだ。

 結果的に、反ファシスト法の制定は辛うじて繋がっていた連合国と枢軸国の関係を呑底に叩き込んだ。枢軸国各国は、1954年4月30日のドイツ第三帝国を皮切りに相次いで国連の一切の諸事から手を引き、国連と連合国は完全に一体となった。このため、後世の歴史家の中には反ファシスト法がアメリカによる事実上の宣戦布告であったと主張する者も現れることになる。



 1954年5月12日、アイゼンハワーは緊急テレビ番組に出演し、枢軸国の盟主たるドイツ第三帝国に宣戦布告することを宣言した。

ドワイト・D・アイゼンハワー2.jpg
「我国や国連は粘り強い交渉を続けて来たが、ついに決裂するに至った。我国の我慢も限界に達した。彼らの煽った危機を清算する時が来たのだ」

ss1244.jpg


続く。

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最終更新日  2012.11.20 09:30:55
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