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土曜日の新日フィルのプログラムに、早くも来シーズンの定期演奏会の計画が出ていました。来シーズンって2010年秋から2011年に掛けてですからね。まぁ、確かに、指揮者との契約とかはもう済んでるだろうし。あくまで速報版、だそうですが。
凄いな、と思うのは、指揮者のバリエーション。 2010~2011年、新日フィルの定期演奏会には、トリフォニー、サントリー、どちらも4人の指揮者しか出ません。クリスティアン・アルミンク、ダニエル・ハーディング、インゴ・メッツマッハー、フランス・ブリュッヘン。この4人。 各シリーズ8公演の内、アルミンクは音楽監督として4公演を指揮。そして"Music Partner of NJP" なる役職に就くハーディングが2公演。残りをメッツマッハーとブリュッヘンが各1公演担当。 やはり日本のオケの中では新日フィルが真面目に取り組んでるな、と思うのは、客演指揮者を増やすより音楽監督に4公演振らせる、というやり方をしていること。加えてハーディングに2公演、というのも、覚悟があるなと思います。ヘタな日本のオケなら、常任や音楽監督が登場する回数ですよ、2公演って。それにブリュッヘンはお馴染みなので、事実上純粋な「客演」はメッツマッハーだけでは。 まぁ、「新クラシックへの扉」公演で色々出すんでしょうけれど。 昨日書きかけたことにも繋がるんですが、日本のオーケストラを聞いていて思うのは、「どんな音を出したいのか、どんな音楽をしたいのか、分からない」ということなんですね。 単純な上手い/下手ではないんです。昨日、「写ルンです」と一眼レフ、という書き方をしたけれど、言い換えると詰め具合の差なんですよね。「写ルンです」だってよく考えて慎重に撮ればそれなりの写真は撮れるし、一眼レフだって漫然と撮ればアバウトな写真にしかならない。そういうことではなくて、何を撮るか、どう撮るか、その為にはどのように工夫するべきなのか、結果として全体ではどのような写真にしたいのか。そういうことがもう一つ見えて来ない。 多少技術があっても、漫然と演奏していれば、いい音楽にはならない。いつも「悪くない」とか「いい演奏だったと思う」というのだけれど、あれは、言い換えると、「それなりにいい演奏だけどどんな音楽なのか分からない」という意味合いも入っているのです。(そうではないこともあるけど) 分からないのはお前が未熟だからだ。そうかも知れません。でも、そもそも、日本のオーケストラが何を目指してるのか、よく分からないんですよね。 3年くらい前の新日フィルは面白かった、と思います。あの頃は、アルミンクの指揮の下、技術的にも随分良くなってきたし、その一方で、徹底的に古典をやりながら、どんな音楽をやりたいのか、朧げながらも何か考えてるな、という感じがあったのです。でも、ここ最近の新日フィルには、それがあまり感じられない。どういう音楽をやろうとしているのか、どういう音を出すようになろうとしているのか、もう一つ見えない演奏が多い。そんな気がします。それが、それぞれの演奏会での「詰めの甘さ」に繋がっているように思うのです。 それは、確かに音楽監督の仕事でもあるけれど、オーケストラ自身が自覚しなければどうしようもないことだと思うのです。これは必ずしも優劣の問題ではない。また引き合いに出して申し訳無いけれど、シャイーとゲヴァントハウス管は、マーラーの「巨人」という曲に対して、どういう音楽であるかというビジョンがあったのだと思います。ビジョンと言って悪ければ、これはどんな音楽で、だからこういう風に演奏するだろう、という約束事が共有出来ていたのだと。そして、このオーケストラではこういう時はこうだろう、という、基本的な「反応」とでも言うべきものが理解されている。例えばそんな感じなのではないかと思うのです。 日本のオーケストラには、こういう感覚が欠けている気がします。持てていないのもそうだけど、殊によるとこういう考え方をしていないんじゃなかろうか、と。昔の東フィルや、3年くらい前の新日フィルには、それに近い感覚が多少なりともあったように思うのです。が、今はどうだろう? 自分達の音楽はどんなものであるか、どういう音楽を目指すのか?ということなのです。どうもそれがもう一つ希薄なように感じられてならない。別に、ゲヴァントハウス管のような音楽を聞かせろ、ということではないんです。どっちが優れていると数値的に比較出来るものでもない。勿論、相応の技術的な優劣はあると思います。でも、それ以前に「何がしたいのか」ということを自分達で詰め切れているのか、心許ないなと思うのです。 いや、音楽、という言い方が大仰なら、音、響き、でいいのです。自分達のオケの音はこうありたい、というものがあるのか。常設でオーケストラをやる意味はそこにこそある筈です。 後2年、アルミンクに是非頑張って欲しいと思うのです。今のシーズン計画で、上手く行ったらハーディングが次期音楽監督とかあるのかも知れないけれど、h-ディングでも誰でも、出来ればアルミンク並に年4回、せめて3回くらいは来て、自分好みに仕込んで欲しいのです。自分好みで結構。それこそが「うちのオーケストラの音」を作って行くことなのだから。 ちなみに、2010-11年シーズンの演目は壮絶です。トリフォニーでは、アルミンクはヴェルディのレクイエムと「トリスタンとイゾルデ」をやるそうです。ブリュッヘンはベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」。ハーデンングがマーラーの5番とブルックナーの8番。メッツマッハーがマーラーの6番。今からお尻が痛くなりそうな........ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年11月09日 23時39分56秒
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