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2010年02月14日
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カテゴリ:オペラ
 新国立劇場  14:00~
 3階正面

 ジークフリート:クリスティアン・フランツ
 ミーメ:ヴォルフガング・シュミット
 さすらい人:ユッカ・ラジライネン
 アルベリヒ:ユルゲン・リン
 ファフナー:妻屋秀和
 エルダ:シモーネ・シュレーダー
 ブリュンヒルデ:イレーネ・テオリン
 森の小鳥:安井陽子
 東京フィルハーモニー交響楽団
 指揮:ダン・エッティンガー
 演出:キース・ウォーナー

 確か、いわゆる「東京リング」の初演時、ジークフリートは観てなかったと思うのですが.......やっぱり観てないかな?少なくとも舞台では観てないと思うけど。

 色々思う所ありの公演でした。

 それにしても、ワーグナーは長い!ケツが痛くなります。いやホントに。その上に、休憩時間も長い!今回は2度休憩で、最初が50分、2度目が45分。都合一時間半以上休憩してます。お客の都合から言うと、2度目の45分は長過ぎるだろ、という気はします。或いは、初回が短くてもいいかも。
 今日は2日目。あまりこのタイミングでは聞かないようにしてはいるのですが、なんでか、この日に取ってしまったので。

 まず、演奏の方から。

 正直言うと、なんだかんだいっても、やっぱり日本でコンサートやオペラに行っていると、何処かでダブルスタンダードをセットしてると思います。ウィーン・フィルやらなんやらを聞いている時と、日本のオーケストラを聞いている時とでは、正直、求めてるレベルが違います。東フィルで「ああ、いいじゃない」と思う演奏と同等のものをウィーン・フィルで聞かされたら、「どうしたウィーン・フィル!」と叫んでしまう。まぁそういうもの。
 で。今日聞いた感想としては、そのダブル・スタンダードを感じさせる演奏でした。勿論オーケストラは東フィルだし、その意味で「いい出来」なんです。が、それだけに、そこまでやるんだったら......という不満を思い出させてくれる。まぁそんな感じの演奏でしょうか。
 え?褒めてるのか、貶してるのか、どっちだ?って?....さぁ、どっちなんでしょう?自分でも分かるような分からないような(苦笑)

 歌唱陣は、全体的に言えば、確かに公演を維持するだけの歌唱はそれぞれ出来ていたと思います。或いは(特殊効果だけでなく)PAを入れてるのかな?と思う所もありましたけれど、まぁそれも含めて、「よく出来てる」とは思います。
 ただ、その上で言うと、やはり出来不出来があるんですよね。声としてはよく出てたのは、ミーメ役のヴォルフガング・シュミット。幾分丁寧さを欠く部分もあったけれど、まぁ、ミーメですし。むしろコンスタントに歌えていたと思います。
 問題は、ジークフリート。はっきり言って、ミーメに負けてるんですよね。勿論、ジークフリート役は、通して歌わなければいけないわけで、負担もミーメに較べれば遥かに重い。それはそうなんですが、ミーメと較べた時のバランスが如何にも........
 同じく、さすらい人役のユッカ・ラジライネンも問題。これまた全幕通して結構歌わなければならない役ではあるのですが、もう一つ弱い。聞こえてはいるのです。その意味では出来ているのだけど、その先、もう一歩の深みがない。抽象的な「深み」ではなく、役としての表現を支える、というレベルの声としては弱い。長くなってしまうので演出の問題はまた別途書きますが、やっぱり演出は「弱い」のです。その弱さ故、ここまでくると物語にきちんと語らせて欲しいのだけど、その意味では最も性格俳優的な存在であるさすらい人の存在感が今一歩かな、と。後は、まぁ.........あ、ブリュンヒルデ、ずっこけてました。一カ所、素で叫んでて、思わずこっちもずっこけました。今日は所詮3幕の最後だけだからアレだけど、「黄昏」、大丈夫か?

 オーケストラは、昨年に続いて、ダン・エッティンガー指揮東フィル。
 これがまた.........「日本のオーケストラ」としては、とても良く出来ていたと思います。音もきっちり出しつつ、そこそこ表現も醸しつつ、ワーグナーの世界を感じさせる演奏。勿論、管など、時々事故はあるけれど、それは計算内。ではあるのですが......
 これが、必ずしも歌唱と上手く折り合えていたのかどうか、というところではありまして。どうも聞いていると、エッティンガーの解釈で構成されているのは確かだと思うのですが、あまり歌唱に優しいとは言えない演奏であるような気はします。音楽としては、好き嫌いはあると思いますが、良く出来た演奏ではあるでしょう。今日は2日目ということを考えても、今後の「黄昏」、行かなさそうな予定ではあるけれど4月のお披露目定期演奏会と、期待出来そうな演奏ではあります。ただ、「ワーグナーの音楽」として聞く上ではいいなと思うけれど、「ジークフリート」というオペラとしては、オペラ的には歌唱との折り合いが、ドラマ的にはストーリーに対する音楽としての意味合いが、それぞれもう一つという気がしました。

 悪くない出来なんですけどね..........悪くないほどに、欲が出るってとこでしょうか。

 演出の話は改めて。








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最終更新日  2010年02月15日 02時00分12秒
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