昼間取り上げた極東証券ですが、他社とPER及び収益内訳の比較をしてみました。ほとんどの会社がPBR>1ですので、資産面での割安性は勘案しないことにします。前年度実績を元にすると、PER20倍未満は5社しかなく、AKIさんの指摘通り同業他社と比較して割安です。
もちろん高PERに評価されている会社はそれなりの理由があり、特にイートレード証券をはじめとするネット証券はネット証券取引人口の増加により口座数・預かり資産残高・手数料収入はうなぎ上りです。それに引き換え極東証券は対面販売に特化しており、口座数は法人個人の合計で2002年9月32500→2005年9月36000と僅かにしか増えていません(注:グラフからの読み取りなので多少誤差があるかもしれません)。しかも、トレーディング損益の占める割合が43%と光世証券についで2位。松井証券の社長が『中小証券の中にはトレーディング損益が収益に占める割合が半分近くになるようなところがあるようだが、そういうところは証券会社の看板を下ろしたほうが良い』などと言ったそうですね(笑)。それに対し、極東証券の社長も負けずに『自己資本規制比率の高さを自慢するような会社があるようだが、要するに客にはリスクを取らせて自分はリスクをとらないと言っているようなものだ』と対抗しています。
社長同士のイヤミの言い合いはさておき、この口座数の増加の少ない理由はネット取引に参入していないこともありますが、会社の方針で休眠口座を作らないという理由が大きいようです。口座数が増加すれば当然システム負担も増加します。当然それにかかる設備投資や費用もバカにならないわけで、無駄な費用負担を生み出す休眠口座を解約させているそうです。その結果、口座は僅かしか増えていないのにもかかわらず、なんと預かり資産はこの間ほぼ倍に増えているのです。
また、割安な市場評価の理由としてトレーディング損益の占める割合が高いので市況に左右されやすい収益構造と認識されているのかもしれません。しかし、このトレーディング収益の約半分は債券の仕入れ/販売のスプレッドであり、債券販売を安定的に伸ばしている極東証券にとってむしろ安定収益源といえます。加えて、債券販売というのは株式市況が軟調な時にはむしろ伸びるわけで、逆に受入手数料のほうが市況に左右されやすいともいえます。比較表の右に*がついている会社は2003年に損失を出している会社です。トレーディング収益がほとんどない東京東海証券でさえ赤字です。ほとんどの証券会社が赤字を出している中、極東証券は僅かながら黒字でした。
同業他社の中でも安定した収益基盤に加え、AKIさんのブログで詳しく解説されていますが同業他社にはない不動産証券化ビジネスに取り組んでいます。こちらの利益は急進しているばかりでなく、子会社であるFEインベストを設立し、今まで外部に流出していたキャッシュの流入を狙っているようです。
同業他社比較で安定した収益基盤、不動産証券化ビジネスの急拡大による利益の増大期待、なんといっても同業他社比較で低PER(やっぱりこれですが)なので、ここしばらくのトレンドで見ますと少々株価的に高くはなってしまっていますが、少々ポートフォリオに組み入れてみました。