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もはやゴシック・ホラー エイリアン ALIEN アメリカ(1979年7月)117分 ■ 監督 リドリー・スコット ■ 出演者 トム・スケリット /シガーニー・ウィーヴァー ジョン・ハート /ヤフェット・コットー ハリー・ディーン・スタントン .......................................................................................................... ■INTRO■ 第52回アカデミー賞、視覚効果賞受賞。 ■ 公開当時の封切りの映画館での 久々の都会の要素に高揚しながら劇場に入場する列に並んでいた時の事、 館内から壁越しに伝わってくる薄っすらとした爆音が響くロビーは 大ヒットでごった返す客のザワザワ音とが混ざる中の 期待と興奮に満ちた混沌とした盛況の中にあった 程なくして上映が終ると、 館内出口から次々と焦心した顔付きの観客達が 一様に ゾンビ 化しながらゾロゾロ出て来る現象を確認し 口々に「すごかった・・・」と溜息のように漏らしながら 劇場を後にするのを眺める事となった 一体この中で何があったのかと ベルベットで裏打ちされ観音開きした館内入り口の扉を まるで異世界へ繋がる門の様に見つめながら 今まで体験した事の無かった期待と不安で冷や汗が出て来たのを よく覚えている。 上映が始まりスター・トレックやスター・ウォーズなどの 娯楽SF映画とは全く違う空気を持ったミステリアスな場面が次々と現れ 上映中のデカイ画面とデカイ音(ドルビー音響効果導入)が こんなに怖いものなのかと思い知り 映画とはデカイテレビぐらいにしか思っていなかったヘタレなブログ主は 映画館全体が巨大なアトラクションと化した恐怖空間の中に晒されて 始終ビクビクしながら手に汗握り縮こまり 「もうお願いだから早く終ってくれ~・・・(@_@;)」と 何度も心に祈りながら終始ビクビクしながら手に汗握って縮こまっていた そうして上映が終了した後は すっかり焦心した顔を晒しながら劇場を後にする 先程の様なゾンビの隊列に自らも参加する事となり これから入場する観客の期待を否応無しに煽るのに一役買ってしまう、 映画少年時代のブログ主なので あ った・・・ ■ というわけでSFにホラーの要素が加わり新感覚映画の先駆けとなった 「光と影の魔術師」リドリー・スコット監督の代表作 『エイリアン』をご紹介します .......................................................................................................... -STORY- 地球へ帰還する途中、 知的生命体らしき信号を受信した宇宙貨物船ノストロモ号は規約にのっとり 未知の惑星へ調査に降り立つ。 そこで半壊した不気味な宇宙船とミイラ化した生命体の死体を発見し 捜索を続けるうちに何かの卵らしき物体が無数に並ぶ場所へたどり着く。 不注意に卵に近づいた航海士ケインは ヘルメットめがけて飛びかかってきた謎の生き物に メットを破り顔に張り付かれてしまう。 謎の生物に襲われたケインを収容しノストロモ号に帰還した一行は 受信信号が実は死んだ宇宙人の発した警告である事を身を持って知る。 .......................................................................................................... -解説- 「グラディエイター」のリドリー・スコット監督の名を世界的にした出世作。 当時にしては珍しいメディア展開を実施して 「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」のキャッチコピーを始め 物語の内容に一切触れないミステリックな宣伝が功を奏し 日本でも大ヒットした映画である。 SF作品にしてサスペンスホラー映画である本作は、 現実とは切り離された世界観を設定した密室ミステリーの先駆けとして もはやゴシック・ホラーと言っても良い緊張感たっぷりの画面に 圧倒され続ける2時間となっている。 物語は、 貨物宇宙艦で地球へ帰還途中のクルー達が 救難信号を受けて立ち寄った惑星で発見した 人類のものでは無い不気味な宇宙船の残骸の中で 卵から孵化した未知の生物にクルーの一人が寄生され 急遽艦に帰還した所、 寄生されたクルーを宿主にして誕生した謎のエイリアン生物によって 命の危機に晒される という内容で 強靭な戦闘能力と生命力を持ち本能的に殺戮を繰り返すという、 コミュニケーション不能な「殺戮マシン」が 未知の宇宙空間の中で密室と化した宇宙船の艦内に閉じ込められた 無防備な宇宙船クルー達を一人又一人と襲って行く恐怖を描いた SFサスペンス映画で 十分な明かりの無い暗闇で占められた宇宙船艦内で 何時出現するのか分からないエイリアンに怯えながら 次々と人間が餌食になるというホラーミステリーの要素が加わった 物語では無く体感して鑑賞するタイプの 当時としては新感覚なイベント性の高いエンタテイメント作品として 仕上がった話題作である ■ 光と影を操る稀代の映像作家リドリー・スコット監督は 本作ではその稀有な作家性が突出する事無く 映像作家として本領を効果的に発揮しながら 映画の内容と自然に馴染む様な 有機的 に溶け込んだ映像作りを 成功させている。 いわゆるそれまでの「スペクタクル映画」とは異なり 映画史の中で最新の 映像と音響 を駆使し映画を アトラクション化 したのは 成功した完成例では本作がおそらく初めてであり 映画で映像的体験を目指したスティーブン・ピルバーグ監督 の出現以後、 本作は映画が到達したエンタテイメントに於ける一つの骨頂でもあり 映画史に残る一作でもあると思う。 ■ 後にディレクターズ・カット版が公開されて 未公開カットが挿入されたのを見たが、 宇宙船の船室の壁に餌付けされた乗組員の場面があり 何ともB級テイストな作りとなったこのシーンを なぜ当時カットしたのかという理由が良く分かった。 エイリアン4 の ジャン・ピエール・ジュネ監督作 なら アリのこの場面。 取り様によっては悪趣味とも取れて もし当時このシーンを導入していたらショッキングなシーンにはなっても ミステリアスな雰囲気はとたんに吹き飛び 瞬時にB級映画に転落する所であったであろう ブラックレインでトンデモ日本を描いた前歴のあるR・スコットであったが カットはプロデューサーの判断だったのだろうか ■ ラスト近くまで全容を見せない映画史に残る特異なクリーチャーは 奇才H・R・ギーガーのデザインによるもので 世紀末をイメージするショッキングな画風を持ち味とする ギーガーの画集は当時センセーショナルな話題となった。 この今まで見たことの無い五感を揺さぶられるような不気味なエイリアンは 映画の中で圧倒的な存在感を放っており プリプロダクション中のリドリー・スコット監督が この画家の画集を見せられた時に 体から力が抜ける位の衝撃 と言わしめた通り この生物のデザイン無しで本作は成立しなかったと思わせるものがあり まだ「世界観」という言葉が無かった時代に 後に様々な影響を与えた本作のビジュアルは 映画史に残る画期的な発明であったと言える。 ■ 映画のもう一つの顔である主演の シガニー・ウィーバー は 本作が映画デビューの遅咲きの女優として知られた人物だが 女優としてのキャリアは長く イングリッド・バーグマン の舞台でデビューしTV界にも進出した ベテラン女優である 正式な映画デビューは 鬼才ウディー・アレン監督 のアカデミー受賞作 「アニーホール」でもある事から、本作の主役抜擢となった事は 当時映画界の新生として多大な期待を受けていた事を物語るものがある。 ..........................................................................................................
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