財閥の庭園 都内のオアシス
清澄庭園安田庭園古河庭園東京は公園の少ない首都と云われています。ロンドンのハイドパークやニューヨークのセントラルパークのような広大な公園はありませんが、ちいさな公園は結構あります。明治以降、政府は積極的に都内に公園を造りませんでした。従って、いま都内にある小さな公園は江戸時代から引き継いだものが大部分です。その中で、明治時代に財閥が政府から買い取って使っていた庭園には、小さいながら立派なものがあります。池や滝や小川、岩や築山、あずま屋や茶室、それを巡る石畳などな配置した日本式庭園は、西洋式の大衆相手の大ざっぱな公園とはかなり趣が違います。代表的な庭園として、三菱財閥の清澄庭園(江東区)、安田財閥の安田庭園(墨田区)、古河財閥の古河庭園(北区)があります。明治以降、財閥が賓客の接待の場所として使っていたのでしょう、保存状態もよいものばかりです。これらの庭園は、ここだけで完結した自然の小世界を構成していますので、庭園内の小径を散歩し、色々な角度から小世界の変化を楽しむことができます。都会の喧噪の中にここだけはポツリと静寂な自然空間が残されています。狭い敷地ですから西洋の公園のようにランニングしたりスポーツをすることは出来ませんが、心の憩いを得るには最適な場所です。春は花、秋は紅葉、冬は雪など、季節に応じて趣を変えます。夏は変化に乏しいのですが、それでも庭園内の緑陰が涼しく迎えてくれます。(以上)