旧制高校のマントに身を包み、狸のお面をつけ、困っている人を助ける「ぽんぽこ仮面」。彼が跡継ぎに目を付けたのが、「何もしない、動かない」のがモットーの小和田君で…。『朝日新聞』連載を全面改稿して単行本化。
1年ほど前からそいつは京都の街に現れた。虫喰い穴のあいた旧制高校のマントに身を包み、かわいい狸のお面をつけ、困っている人々を次々と助ける、その名は「ぽんぽこ仮面」。彼が跡継ぎに目をつけたのが、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら「将来お嫁さんを持ったら実現したいことリスト」を改訂して夜更かしをすることが唯一の趣味である、社会人2年目の小和田君。当然、小和田君は必死に断るのだが…。宵山で賑やかな京都を舞台に、ここから果てしなく長い冒険が始まる。
物語は、宵山で賑わう京都を舞台とした摩訶不思議な冒険物語。化学工業企業の研究所に勤め、地味な生活を送る小和田君は、東京本社に異動となった所長の送別会の翌朝に彼が目覚めると、目の前に「八兵衛明神の使い」を名乗るぽんぽこ仮面が現れ、「跡を継いでほしい」と頼まれた小和田君は、その申し出をきっぱりと断るが、様々な組織がぽんぽこ仮面を捕まえようとし、小和田君も騒動に巻き込まれていく展開ですが、奇想天外という言葉が相応しい物語で、森見ワールドを楽しめた作品です。
【満足度】 ★★★★