民族の経験が民族の個性を規定する。日本人は何を経験し何を経験しなかったのか。それは、ヨーロッパや中国の人々とどう異なっているのか。国土の自然条件とそこでの経験から得たものという視点から、日本人の謎を解き明かす。
なぜ日本人はここまで世界の人々と違うのか。「戦後」よりはるかに長い時間が大量虐殺の歴史を持つ国々と、災害死の国・日本の違いを生んだ。国土学の第一人者が日本人の強みも弱みも解き明かす。戦後70年だからこそ問い直したい日本人とは何か。
本書は、日本独自の地理地形や天変地異、災害の歴史を紐解き、これらの経験から人々が得た「日本人らしさ」と、これからの日本のあるべき姿を論じたもの。地震・洪水・飢饉などが頻発する厳しい国土の自然条件、小さく分散的であった平野での集落、大陸との微妙な離間距離、これらが世界的に稀有な日本人を造り上げてきましたが、日本人の強みと弱みはこれらの国土がもたらしたもの。このような自然環境が、独特の死生観や、小さな共同体など、様々な日本的特性を生みだしましたが、こうした日本的特性は、欧米など他の国々とは全く違います。今後日本はどうやって発展していくべきなのか、グローバル化は可能なのか、非常時にどう立ち向かっていくべきなのか……など、自然環境に視点を合わせた説得力のある文章で、過去・現在・未来の日本の姿を解き明かしています。
【満足度】 ★★★★☆