いなごらいだー。
やちまた道、お昼は弁当だ。数年前まで、普通に外食だったが、やっぱり外の食事はかなり油っこいし、量もかなり多い。メタボリックな感じになってきたので、カロリー控えめの弁当にしている。(というよりは、やちまた家の緊縮財政の影響が大きいが…)おかげで、下腹も気にならなくなっている。使っている弁当は、保温弁当。ほかほかのごはんと味噌汁が分かれて入っているやつだ。この弁当のいいのは、温かいのはもちろん、味噌汁がついていること。味噌の国から来たやちまた道としては毎日味噌汁が飲めるうれしいシステムだ。しかし、弁当でひとつ困ったことがある。お昼のメニューが自分で選べないこと。これが食べたいというのがあっても、何が出てくるかはすべてカミさんの御心のまま、というわけだ。ある日こんなことがあった。何食わぬ顔で、弁当箱を開ける。一瞬何が起きているのかわからなかった。なんと「イナゴ」が入っている。珍味好きのやちまた道、イナゴが嫌いなわけがない。でもだ。パソコンを前にした書類にまみれた職場のデスクの上で(両脇には、同僚が座っている)甘辛く煮たイナゴはどうもさすがに…。まあ、戦後の食料難の時、イナゴはすごく貴重な栄養源だったと親父からもよく聞かされていたし、イナゴさんにも失礼な話だ、というのはわかるが…。家に帰るとさっそく直談判。「ちょっと、イナゴ入ってたよ。」「でも、好きだって言ってたじゃん。」「そうだけど、何も弁当に入れなくても。しかもホカホカだし。絶対に入れるなよ。」「…うん、わかった。」と言う言葉とは裏腹に、目の奥でいたずらぽっく笑っているのが気になった。次の日、おそるおそる弁当箱を開ける。オムレツが普通に入っている。「ふー。やっぱ弁当はこうじゃなくっちゃ。」とやっと安心して食べ始める。と、な、なんと、オムレツの影からイナゴちゃん兄弟がはずかしそうに見ているではないか。「うぎゃー。」ぎりぎりのところで声を飲み込み、ついでにイナゴちゃんも飲み込んだ。こんなヘルシー弁当のおかげで、やちまた道いたって快調だ。