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2008.03.25
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カテゴリ:新聞記事
日経産業新聞より、素晴らしい記事を見つけたので以下引用します。

赤羽金属製作所―障害者雇い生産性向上、従業員に占める比率1割(地域中小企業) 赤羽金属製作所―障害者雇い生産性向上、従業員に占める比率1割(地域中小企業)
2008/03/24 日経産業新聞 P 20

 障害者が従業員の約一割に達する自動車部品メーカーが東京都北区にある。赤羽金属製作所の野本吉之助社長(76)は「障害を持つ社員の真剣に働く姿が、健常な社員の刺激になる」と語る。法律で定めた障害者雇用率を満たしていない企業が多いなか、同社は生産性向上や事故防止につなげている。健常者と障害者が協力して働く職場を目指す同社の経営をまとめた。
 町工場のような雰囲気の赤羽金属製作所の本社工場。ここではいつも十人近くの社員がテーブルに向かい、自動車のパーキングブレーキに使われる金属製部品を組み立てている。
 「普通の工場とほとんど変わらないでしょう」と野本社長は笑みを浮かべる。部品は手のひらに乗る程度の小さなものだが、同社の収益の柱の一つで、毎月の出荷量は約十五万個。部品を完成させるには五つのパーツを手早く組み合わせていく必要がある。障害者も健常者と同じペースで仕事をこなしている。
 現在、赤羽金属製作所には十八人の知的・身体障害者が働く。部品の組み立て以外ではプレス作業や検査業務を担当している。常勤の従業員に占める比率は一〇・三%。障害者雇用促進法による法定雇用率の一・八%を大幅に上回っている。二〇〇六年には地元の北区から表彰を受けた。
 同社が障害者雇用に取り組むようになったきっかけは、バブル経済が始まる一九八六年の夏に起きた。近隣の養護学校の教師が同社を訪ね、知的障害を持つ生徒を一人採用してほしいと申し入れたのだ。採用を決めたのは当時、総務担当の社員だった野本社長だ。
 障害を持った人への配慮や企業の社会的責任への意識もあったが、「人手不足を少しでも解消したいとの考えもあった」。当時の社長は「ケガでもされたら大変」と難色を示したが、野本氏が説得した。
 野本氏は入社した障害者にプレス機械の使い方を手取り足取り教え、一人前の戦力に仕立て上げたのだ。その後もバブル経済による採用難に対応するため、三、四人の知的障害者を立て続けに正社員として採用した。
 「なぜ、最初に私たちを正社員として雇い入れないのか」「健常者を採用した方がよいのではないか」
健常者に刺激
 障害者を正社員として採用し始めたことで、健常のパート従業員から不満が出た。健常の正社員には障害者を正社員として迎え入れることへの心理的なわだかまりもあったようだ。野本氏はそうした従業員らに「自分の兄弟や子供が障害者でも、同じことを言うのか」と諭して理解を求めた。
 ただ、障害を持った社員が同社に定着した最大の理由は野本氏の配慮や企業の社会的責任論よりも、彼らの仕事に取り組む姿勢だった。
 養護学校での職業教育の成果もあり、勤務態度は極めてまじめで、遅刻や手抜きはしなかった。総じて知的障害者は決められた仕事を納期までに仕上げることが得意とされる。
 障害者のそうした特性が健常の正社員に刺激を与え、職場の雰囲気を引き締めたのだ。いつしか障害者を正社員として受け入れることへの不満は消えていった。今では「困っている人に声をかけるなど、社員同士が助け合う雰囲気も出てきた」(野本社長)。
 生産設備などハードの面でも障害者が能力を発揮できるような仕組みを整えた。主力のブレーキ部品の場合は、どれか一つでもパーツの付け忘れがあると最終組み立てができないようにする治具を独自に開発。プレス機では、作業員が巻き込まれないように安全センサーを導入した。
 これによりブレーキ部品に不良品がほとんど出なくなり、納入先からのコストダウン要請に応じる余地を生んだ。作業員が誤って大けがするような事故もほとんどなくなった。従業員が入院するような労働災害はここ数年、起きていない。
 障害を持つ社員が無理なく働けるようにする工夫が生産性向上につながり、健常者を含むすべての従業員の安全確保にも貢献しているのだ。
変化対応に時間
 赤羽金属製作所はホンダおよびその系列会社からの受注が売上高の過半を占める。〇七年十二月期は売り上げの六割がホンダ系、三割がスウェーデンのシートベルト製造会社だった。今後はホンダに過度に依存した収益体質を変えることが課題となる。
 野本社長がいま注目しているのが、「痛くない注射針」で有名な岡野工業(東京・墨田)との業務連携だ。多くの自動車メーカーと取引している岡野工業を通じて、新規の取引先を開拓しようとしている。
 赤羽金属製作所で働く障害者の半数は知的障害者。仕事の内容が変わったり、新しい仕事が加わったりすると、健常者よりも対応する時間が余計にかかることがある。
 新規の受注先を増やすことは障害を持つ社員に大きな負荷を与えることになりかねない。そうしたハードルを乗り越えられれば、業容拡大のスピードも上がる。
(山田健一)
【図・写真】障害を持つ社員が無理なく働けるように工夫している(プレス工程)


これは凄い!!大変感銘を受けました。
製造業の向上に勤務されている方はこの記事に書かれていることがいかに凄いかお分かりいただけるのではないかと思います。
健常者のみで安定した品質の製品を作り続けるのも困難なのに、創意工夫を続けることで障害者の方でも健常者と同様の作業が出来るようにしています。

目からうろこが落ちる思いがしました。

また、日経産業新聞社にはこれからもこのような良質の記事を提供し続けて欲しいと思います。取材力の勝利だと思います。





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Last updated  2008.03.26 02:12:48
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