前回に引き続き、今回も坂本龍馬の和装を考察してみます。
龍馬は和装に靴を履き、懐には護身用のリボルバー拳銃と『万国公法』を常に持ち歩いていたということですが、靴を履いている写真が確かに残されています。爪先の尖ったハーフブーツのようです。羽二重の紋付着物に馬乗袴、大小二刀を腰に帯びて椅子(床几?)に腰掛けています。
とりあえず礼装をしておりますが、和装に靴を履くというのは現代でも奇抜なファッションであります。まあ、積雪寒冷地では冬期の和装に防寒靴や長靴を履くことはたまにありますがね。明治になって、和装と靴の取り合わせが流行したことがあり、裕福な令嬢の女学生が矢絣着物に女袴を付けブーツを履いたファッションが良く知られておりますね。今でも卒業式シーズンになると街でよく見かけます。
龍馬は和洋折衷のこのファッションがお気に入りだったことは確かなようですな。しかし、動乱の京都では控えめで地味な姿で目立たなくしていたようです。
左の写真は、礼装で革靴(ハーフブーツ)を履いている。長崎にいた頃に撮影した一枚と思われる。右の肖像画は、準礼装(訪問着)に黒足袋を履いている。前回の越前の商家で撮影された写真の服装と同じものと思われる。この肖像画は龍馬没後に描かれたものである。