私はお昼頃いつも家に帰る。
ばあさん(母)がひとりでご飯を食べるのがさみしいという理由と、ブラ雄の散歩をあたたかい時間にしてもらいたいという理由と、私の昼メシ代を浮かせるというみみっちい思惑が合致して、私はほぼ毎日、昼頃家に帰る。
先日は雪のあとのあたたかな晴れ間が広がって、ちょうど散歩日和だった。
おとしよりたちも待ちかねたように散歩をしている。
「こんにちは」
「ハイこんにちは」
「あたたかくなりましたねー」
「ハイいいですね、あたたかくて」
「ワンちゃんおりこうそうね」
「いえバカです」
ひとことふたこと交わしながらの散歩も楽しい。
学校の都合で下校時間が早くなったのか小学生も歩いている。
前方で雪の土手で遊んでいる男の子を見ながらブラ雄と歩いていった。
通り過ぎるとき、ふとその土手を見ると指で雪に書いたと思われる白い文字が、、、
マキ大好き!
そっかー、チミはマキちゃんが好きなんだなーーー。
マキちゃんはきっとかわいい娘なんだなーーー。
でもな少年、
もすこし痩せないとなかなかマキちゃんは振り向かないと思うぞ。
相撲取りのような背中にそっと投げかけたつもりで、散歩を続けた。
ふとみると柴犬を連れた初老の女性が目に入った。
というよりもうブラ雄はズンズカすごい勢いで前進している。
私 「こんにちはーーー!!」
初 「なにしてんですか!!!!―――――!!!」
私はにっこり笑った顔を戻せないまま ?な顔。
初 「ちょっと近づけないでください!!!!」
私 「何、怒ってんですか?」
初 「ケンカしたらどーーすんですかーーーー!!!!」
いやねえ、ケンカするならもうとっくにやり合ってると思うのですが、当の犬たちはオシッコの匂いをかぐのに忙しくて、飼い主のことは眼中にないようですが、、、、
しかもお互いリード(綱)してるので近づきようもないのです。
私 「ケンカしないと思いますよ」
初 「行くなら行くで、さっさと行ってください!!!!!!!」
とりつくしまもなし。
まあ私も大人ですし、あたたかな昼のひとときですし、相手は初老のババアもとい女性ですし、ほんとうにほんとうに申し訳ないのですが、生き物を自分の子どもや孫のように溺愛している人の中には、大きな勘違いをしているケースが多いのでそんなことは百も承知なのですが、いちおうひと言返しました。
「変人」
放し飼いの猫はともかく、犬同士はお互いの匂いをかいだり、テリトリーを確かめたり、ああこの匂いはお前だったのかー、いやいつも嗅いでるだけなんだけどなかなかシャイな奴じゃねーか…とか、オオ!もうりっぱなメスじゃねーか、俺(ブラ雄)はタマタマ取っちゃったけど、ねんごろになりてーなー…とか、
いつもそんなこと考えながら歩いているのです。
それを
「私のサクラちゃん(仮名)には誰ひとり指一本さわらせないから覚えておきなさい!!」って言われるのもなあ。
ババアもとい初老の女性は柴犬サクラ(仮名)がその空き地でモリモリ大ウンチをしたのにもかかわらず、ブラ雄から引き離すべく引きずっていってしまった。
そのウンチどうすんのさ。