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ふきのとお 福寿草 福寿草 日本に自生するフクジュソウは、4種が確認されている。 正月用の寄せ植えでは蕾が膨らんだ開花直前の株や花の咲いた鉢が出回るが、自然環境で咲きだすのは2月になってからである。 地面から直接花茎を伸ばしその先端に径3cmほどの丸い花を、1~数輪、真上に向いて開く。 明るい黄色の花が基本で、園芸品種には紅花や白花などもがある。 花後は切れ込みの入った羽状のニンジンに似た葉を伸ばして生長し、夏前には枯れて休眠に入る。 花が浅い椀型をしているのは、太陽熱を集熱するためと考えられている。 空気を温めることで受粉昆虫を誘引したり、虫の動きを活発にしているのではないかと言われる。 カタバミやリンドウ・チューリップのように夜間花弁を閉じる花は多いが中でも福寿草は光に非常に敏感で、日中でも日が遮られると1~2分で花が凋み、再び日があたると花を開く。 開花時期が寒い時期なので、花弁を開閉することによって花の中の温度を下げないようにしているのではと考えられている。 福寿草の花芽分化は、10月頃である。 正月用に園芸店で売られているものは花芽ができた後一か月ほど寒さに当てた福寿草を、ハウスに取り込んで温め正月頃に咲くように調整したものである。 自然環境の路地で咲き出すのは、2月になってからである。 旧暦の今年の1月1日は新暦1月28日だから、早いものではこの頃には咲きだすのであろう。 福寿草という名前の由来は字面のとおり福と長寿で、花言葉には「永久の幸福」がある。 しかし西洋では同じ種類の花に、「悲しき思い出」という正反対の花言葉がつけられている。 学名のAdonis ramosaアドニスは、ギリシャ神話に出て来る美少年の名前である。 美の女神ヴィーナスの気に入りの美少年アドニスが、狩りに行った森で猪の牙に突かれて命を落としてしまった。 そのとき流れた血から咲いたのが、赤いフクジュソウの花とされている。 別名も元日草・朔日草など、何れもめでたい名前が付いている。 フグ毒はフグ科の学名Tetraodontidae+toxin(テトロドトキシン)・カビ毒Mycotoxinなど、生物が作り出す毒に対して、「…toxin」と使う。 「綺麗な花には毒がある」の言葉とおり目出度い名前が付いた福寿草も、強い強心作用を及ぼす成分adonitoxin(アドニトキシン)を持ち少量で死に至る。 現在は殆ど使用されないが生薬として有名な、強心配糖体ジギタリス(フォックスグローブ)の代用として使われたこともある。 フクジュソウは、危険性の高さから「毒草」に分類されることが多い。 全草に強心配糖体シマリン・アドニトキシン・ソマリンの他、多くの植物アルカロイドを含有している。 アドニトキシンは水に易溶性なので干した根を煎じると、簡単に致死量のアドニトキシン溶液ができる。このため、取り扱いには十分注意しなければならない。 因みにadonitoxinの致死量は、0.7mg/kgとされる。 長年衛生学の講義を担当してきたが、植物食中毒の項で必ず引き合いに出されるのが福寿草である。 食中毒の原因として食用山野草との誤食と、薬草としての誤用の二つが上げられる。 誤食は蕗の薹と間違えて福寿草の芽を食べること、誤用は民間療法で福寿草の根を煎じて量を間違えて飲用することの二つが挙げられている。 常に誤食について警告はされているが、福寿草を蕗の薹と間違えて食べ中毒を起こしたという例は見つからない。 福寿草はジギタリスと同じように、自己流の民間療法では絶対に服用してはいけない。 長い間心臓病と糖尿病を患っていた76歳の女性が、心臓病に効くと教えられ福寿草の根を煎じて180mlほど飲んだことによって死亡した誤用例がある。 薬種商が薬理上危険な民間医療薬とされる福寿草根の販売にあたって、危険性の指示・警告義務を怠ったとして違反とされた。(大阪地判昭和41・5・20) 年末12月初めには我が家の庭の蕗の薹が膨らみ始め、今月になって落ち葉の間から福寿草が芽を出した。 当初フキと福寿草はかなり離れた場所に植えたのだが、植栽してから50年も経過する間に動かない福寿草の領域までフキが根を広げて、今では同じ場所に芽を出す。 蕗の薹を摘んで佃煮を作るのは自分以外にいないし、福寿草が咲いても家内も長男も関心を示さない。 現在は絶対に間違えることはあり得ないが、自分がいなくなった場合を考えて福寿草を別の場所に移す必要もあるのかなと考え中である。 莟太く 開かぬを愛す 福寿草 子規 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年01月18日 11時39分44秒
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