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言葉を“面白狩る”

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2006/11/11
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「先年より当地諸買物代、七月・極月二季之請引仕来ニ有之候処、夫ニてハ仕入銀差閊、難儀之者も有之候様相聞候、依之此度相改、五節句払定法を建申付候、尤他所懸り商売は五節句取立難相成趣ニ相聞候ニ付、唯今迄之通り銘々相対を以可致請引候、当町内限り五節句払と相心得、只今迄二季請引ニ仕来候諸商売之買物代、医師并諸師匠謝礼等ニ至迄、五節句払ニ可致請引候、尤寺社并借家賃等は唯今迄之通り二季払ニ可致、其外ハ則左之通り五度ニ請引可仕事
   三月上巳節句前
   五月端午節句前
   七月盆前十三日限り
   九月重陽節句前
   極月大廿九日限り小廿八日限り
是迄限銀売之者ハ只今迄之通り相対を以限銀可致請引」(『広島県史』近世資料編3)

前から当地尾道での買物代金は七月と十二月の二季の支払でやってきたが、それでは仕入銀にも差支え、難儀する者がいると聞いている。そこでこの度改正をして五節句払定法を建てた。他所との商売で五節句払にはできないのなら、今まで通り銘々が相対で応対しなさい。尾道町内限りの取引は五節句払になると心得て、今まで二季払でやってきた諸商売の買物代や、医師や師匠への謝礼等まで五節句払にしなさい。但、寺社(への奉納)や借家賃等は、今まで通り二季払とする。それ以外は次の通り。
   三月は上巳節句の前
   五月は端午節句の前
   七月は盆前十三日限り
   九月は重陽節句の前
   十二月は大の月なら廿九日限り、小の月は廿八日限り
これまで現金売買をしてきたものは、相対で今迄の通りにしなさい。


この触書は、尾道町奉行所が掛売りについて「町中一統」へ出したものです。

「現金掛値なし」が普通の、今の商取引から見ると、掛売りが医者の治療費の支払にまで、広範囲に行われていたのには驚きです。農業中心の社会では、収穫のサイクルに合わせた商取引になるのでしょう。それにしても、盆・暮の二季払はよく聞きますが、「五節句払」とは聞いたことがありません。

この「五節句払」が、どの程度行われたのか知りません。多分、うまく行かなかったろうと思います。目にした文書はみな二季払でした。

「年中店買払等も盆と暮と二季払ニ仕来り申候」(文化十一年(1814)「安芸郡海田市国郡志御編集に付下弾書出帳」)
「此あたり六季払と申事なく、諸払只歳前と盆前のみに候ゆへ如此に候」(文政元年(1818)「備後国福山領風俗問状答」)


掛売りが普通の社会で、現金売に限られたものとは何か、興味が持たれます。






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最終更新日  2006/11/11 12:25:47 AM



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