1734863 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

言葉を“面白狩る”

言葉を“面白狩る”

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

2006/11/12
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

「法恩講と唱、真宗之祖師忌、霜月廿八日なるを取越、十月ニ仏事仕、是を御取越といゝ、人家ニ不取行ハなし、霜月ニ入候てハ僧分多用ニ付、十月朔日より家々ニ右法恩講執行也」(理勢志)
真宗の祖師(親鸞)忌は十一月廿八日で、法恩講というが、日程を繰り上げて十月に仏事をする。これを御取越といい、これをしない家はない。十一月に入ると僧は忙しくなる(?)ので、十月朔日より家々で法恩講を行なうのである。

安芸国では浄土真宗の寺が圧倒的多数を占め、その門信徒を「安芸門徒」といいます。備後でも真宗は優勢です。

報恩講】ほうおんこう。(『岩波歴史辞典』)
仏教各宗派で宗祖や派祖の忌日に行う報恩の仏事をいう。とくに浄土真宗の場合は、覚如が報恩講式を作り、南北朝時代には親鸞の忌日11月28日を結願とする7日間の法会が行われており、以後真宗最大の年中行事となった。


この「真宗最大の年中行事」を、「僧分多用ニ付」十月に繰り上げて、その名も「御取越(繰上げ)」としたと説明しています。

御取越】おとりこし。(『広辞苑』)
親鸞の正忌陰暦一一月二八日を引き上げて、それ以前に法事を行うこと。引上会とも。


ところが、もともと「御取越」=繰上げですから、本来の意味にも使われます。

「玉雲院様三周忌ニ付、来ル廿九日、晦日御取越御法事御執行有之候間、諸事穏便ニ仕」(安永五年(1776)十一月「堀川町覚書」)
玉雲院様(浅野重晟御嫡岩松君、安永四年(1775)年正月晦日逝去)の三周忌を、十一月廿九日と三十日に御取越御法事を執り行うので、諸事穏便にして

何かの都合で、安永六年(1777)一月末の法事を二ヶ月繰上げるという、本来の意味で使われています。この2例は共に法事ですが、それ以外にも「取越」はあります。

取越米】(『広辞苑』)
江戸時代、特別の事情によって支給期(春・夏・冬)前に支給された切米。
取越し苦労】(『広辞苑』)
将来のことをあれやこれやと考えて、つまらない心配をすること。杞憂。
取越正月】(『世界大百科』)
暦日上の正月を待たずに年の途中に儀礼的に正月を迎え,旧年から脱しようとすること。……その年の忌まわしさから脱し新たな嘉年を期待して行われるもの……時期的には6月前後が多かった。」


給与の繰上げ支給、心配の繰上げ、正月の繰上げ、……「取越し苦労」が“心配の繰上げ”とは、気が付きませんでした。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006/11/12 12:11:12 AM



© Rakuten Group, Inc.