SPは凶行を防げたのか
もう一度映像を確かめてみた。さらに何度か繰り返して見ると、SPが掲げた防弾カバンは役に立っていないことがわかる。遠近感がはっきりわからないが、SPは半歩だけ奥側へ動き過ぎたようにも見える。橋本徹氏が語る。彼も現職時代にSPを付けていたが、「銃声が聞こえたら必ずしゃがむように」と常々SPから言われていたそうだ。「一発目が聞こえたとき、すぐにしゃがんでいれば…」と悔やむ。また、防弾カバンを掲げたSPが、カバンを上げるのではなく安倍元総理に突進し、演台から下ろしていたらどうだったか、という点も問題になりそうだ。タックルするので、倒れる際に打撲などの怪我を負うかもしれないが、それによって死亡する確率は低いだろう。何せ、一発目から二発目の間にはほぼ3秒間あったのだ。前回のコメントでは「致し方ない」と書いたが、3秒の間に安全を確保できなかったのは、SPの「落ち度」と言われてもしかたがないような気がする。今回の事件は、いろいろな面から長く研究されることになるだろう。事件や事故は、必ず起こってから本気で対策が考えられる。何とも悲しく、理不尽なことだが、結果としては、安倍元総理が命を投げ出すことにより、日本における要人警護のあり方を見直す契機を作ったと言えそうだ。改めて、安倍元総理の御冥福をお祈りしたいと思う。