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カテゴリ:添加物
安部司さんの『食品の裏側』にも出てきて、すっかり有名になった(はずの)「コーヒーフレッシュ」ですが、安部司さんはこれを「フェイク食品」と呼んでいました。
この「コーヒーフレッシュ」、教えてもらわなければ疑うことすらせずに使っていたことでしょう。 考えてみると、このコーヒーフレッシュを自分で買ったという記憶がありません。 家で使うことはないからです。 買っていれば、ひょっとしたら袋の裏の表示を見て、乳製品ではないことに気づいたかもしれません。 使うのはたいてい、ファミレスとか喫茶店とかファーストフード店などでです。 コーヒーを頼むとサービスで付いてきたり、テーブルに置いてあったりするからです。 果たして、ファミレスとか喫茶店とかファーストフード店の人たちは、知ってて出しているのでしょうか、知らずにミルクと思って出しているのでしょうか、それを知りたくなりました。 「これは本物ではありません、本物に似せて作った人工の○○ですので、お間違えのないように」といった但し書きが大きく表示されていれば、それはそれでいいのでしょうが、こういった「人の常識」をうまく利用するような「ずるさ」があるものは、確かに問題な気がします。 それが例えば、「かにかま(かに風味かまぼこ)」のように、すでに一般の認知度が高くて、もはや誰もそれに本物の蟹が入っているとは思っていないようなものは、特に問題視されるようなことはないのかもしれません。 しかし、この「かにかま」にしても、アメリカで市販されているものを買ったり、食べたりしているアメリカ人の多くは本物の蟹だと思っているといいますから、やはりなにかすっきりしない気がします。 そしてより問題となるのが、それらがどんなもので作られているのかという点です。 単に安くて容易に手に入る食材とか、似たような姿、味、食感の食材に変えただけだというならば、表示さえしっかりしてくれればさほど問題はないかもしれません。 しかし残念なことに、そうしたいわば「純粋な代替食品」よりも、さまざまに「工夫」が施された「ニセモノ」食品の方が多いようなのです。 ということはつまり、こういった食品を食べるということが、「知らないうちに予期しない変なもの」を食べてしまうということになるわけです。 それらは一般に「コピー食品」、あるいは「イミテーション食品」と呼ばれるそうです。 コピー食品とは、「他の食材に似せて、別の食材を用いて作った加工食品」のこと。 「天然の食材が高価で稀少な場合にしばしば製造されるが、病気などによって食物制限がある場合に、代用食として用いられる場合もある。また、意外性、意匠性を目的に作られる場合もある。」 必要に迫られて作られている「コピー食品」もあるようで、一概に非難(?)はできないようです。 そして、その歴史も結構古いのだそうです。 たとえば、お寺などで出される「精進料理」も「コピー食品」といえるのだそうです。 そもそもは宗教的理由から肉類を食べなかった僧たちが、工夫をしていった料理が精進料理なのだそうです。 また、おでんの具である「がんもどき」も、もともとは精進料理のひとつであり、肉の代用品として作られたのだそうです。 さらに、当時高価なものだったバターの代替として作られたマーガリン、ハムの代替として作られた魚肉ソーセージも「コピー食品」といえます。 そして現在では、「食品の加工技術の進歩により、様々な分野で多量に製造、利用されだしている」のだそうです。 以下、コピー食品といわれるものたちの一覧を、予想以上にたくさんあったので一部コピーさせてもらいました。 1.海 産 物 ・カニ足(かにかま)、ホタテ、イカリング → スケソウダラのすり身をベースに加工(風味かまぼこ) ・イクラ<本来はサケの卵をほぐす> → 人造(多糖類+ガム類+植物油) ・キャビア<本来はチョウザメの卵> → ランプフィッシュ(ぼうぼうの仲間)やトビウオの卵を黒く着色 ・カズノコ<本来はニシンの卵> → カペリン(北欧産シシャモ?)の卵をベースに成型 ・カラスミ<本来はボラの卵巣> → サメやタラの卵をベースに成型 ・シシャモ<北海道の川で産卵> → カラフトシシャモ(海で産卵)、北欧産のカペリン使用 ・カワハギ → ほとんどがウマズラハギを使用 ・ワカサギ → ワカサギより大きく味の劣るチカを使用 ・のりの佃煮 → 大部分がヒトエグサを原料とする ・サケの缶詰 → 原料はカラフトマスが多い(刻印PS)。(サケはCS) ・赤貝の缶詰 → 原料はサルボウ(モガイともいう)がほとんど 2.畜肉製品 ・魚肉ハム、魚肉ソーセージ、マリンビーフ → 魚肉を使用して畜肉製品に似せる ・ハム類<本来は豚肉製品> → 羊肉、馬肉、鶏肉、兎肉、魚肉、植物蛋白、でんぷんを混ぜて増量 ・ビーフジャーキー、コンビーフ、そぼろ、ハンバーグ、ミートボール、ミートソース、 コロッケ、ギョウザ、肉まん、など多数 → 人造肉のみを使用するか人造肉を増量に使用 ※植物蛋白質(大豆や小麦から抽出)や魚肉(マリンビーフ化)を特殊成型化する ・成型肉(ステーキ類) → ばら肉(くず肉や内臓肉も)と脂身を接着成型して製造 3.乳 製 品 ・マーガリン ※乳蛋白質(カゼイン)の代わりに植物性蛋白質を使用 ・チーズ ※乳脂肪の代わりに硬化油やパーム油・やし油を使用 ・ミルク(コーヒー用など) 硬化油は植物油を水素添加して製造 → 植物油ではなくなる ・豆 乳 やし油やパーム油の脂肪酸組成は動物性脂肪以上に飽和が多い ・アイスクリーム → 乳固型分と乳脂肪分の量で分類。 アイスクリーム>アイスミルク>ラクトアイス>氷菓 4.そ の 他 ・ロングエッグ → 黄身と白身を分離し、同心円状の筒型に成型し直す。成型に添加物 使用 ・わさび(粉&練り)→ わさび大根(西洋わさび)+着色料。(+洋がらし)(+でんぷん)物も ・漬 物 → 保存料や着色料を添加。人工甘味料を添加。混合調味液で味付け ・しめじ → 大部分はヒラタケである ・チョコレート → カカオ脂の代わりに硬化油を添加 など。 見てのとおり、ほとんどが身近な商品ばかりです。 そして、練り物(かまぼこ、ソーセージ)、成形肉、ハム、マーガリン、アイスクリーム、チョコレートなど、すでにいろいろな問題を指摘されているものが少なくないようです。 よって、結論としてはもう明らかです。 「コピー食品」といわれるもの、特に加工し、味付けをしているものは買わない、食べないということです。 自然のものを別の自然のものに変えるだけならいいのでしょうが、自然のものを「人工的に」作り出そうとしたとたん、無理が出てきます。 無理はどこかにしわ寄せが来ます。 結論は決まっているのですが、上記の中からひとつだけ取り上げたい食品があります。 それは、イクラ→人工イクラ、です。 イクラとは、「筋子の卵巣膜(卵を包む薄い膜)を取り除き、産卵前の熟した卵を1粒ずつに分けた物。」 そして、「筋子(すじこ)とは、サケ科魚類の卵巣のこと」 です。 そのイクラですが、本物はけっこう高価で鮮度維持が難しいということから、人工イクラが開発されたのだそうです。 人工イクラは、「安価で粒も揃っていて、扱いが容易」だからです。 現在、日本のコピー食品技術は世界的にも高水準にあるそうで、そんな中でも特に人工イクラは、味や匂いでニセモノと見抜くのはとても難しいといわれるほど、本物そっくりなのだそうです。 ましてや一見しただけでは全くわからないのだとか。 唯一の見分け方は、「お湯をかけると白く濁る方が本物、という方法」だそうです。 しかしこれでは、まず買わなければならないし、どこでもできるというわけでもありません。 さらに驚いたことに、そこまで完璧な人工イクラは無理としても、見た目がそれなりのものは、誰でも結構簡単に作れるのだそうです。 「最近では学校の理科の実験課題としても使われている」そうです(へえ~!)。 実はこの「人工イクラ」も安部司さんに教えていただきました。 あるテレビ番組の特集の中で、白い粉や何かの液体を手際よく調合して作っていました。 使ったのは、サラダ油、着色料、増粘剤、アルギン酸ナトリウム、塩化カルシウムなのだそうです。 これらをうまい具合に調合すると、あっという間にあのイクラの粒々が出来上がります(味はともかくとして)。 しかし、これらの原料の中で我々が普通に食べるものといえるのは、アルギン酸ナトリウム(こんぶのヌメヌメ成分)くらいです。 あとは普通、家で食べるものではありません。 調理としては使いますが、サラダ油も普通食べません(健康にいい油もありますが)。 増粘剤も何かと指摘されることの多い添加物です。 これらを食べるということは、コーヒーフレッシュと同じで添加物入りのサラダ油を食べるということです。 さらに、「塩化カルシウム」は、豆腐用の凝固剤としても使用されている食品添加物らしいのですが、より一般的には、除湿剤や融雪剤として使用されている化学物質です。 図で見ると、人工イクラの構造はこのようになっています。 一番外側の膜としてアルギン酸ナトリウム、、 その内側の内容物としてカラギーナン,ゼラチン,ペクチンなどの増粘剤の混合物、 一番内側の目玉(本当に目玉になるわけではありません)の部分としてサラダ油(赤色は着色料)。 ですから、塩化カルシウムを直接食べるというわけではないようですが、しかし、それに触れることで出来上がる食品だということです。 ちなみに、融雪剤として撒布された塩化カルシウムは、撒かれた周辺の植生にとって有害となる、 あるいは、鉄筋コンクリートに対しても悪影響がある、 さらに、自動車の車体や車輪に付着して早期腐食や早期劣化の原因となる、 素手で塩化カルシウムを撒くと皮膚炎の原因となる、 といった害があるようです。 繰り返しになりますが、知っていた上で、買って食べるのは個人の自由だと思うのですが、知らされずに買ってしまったり、あるいは知らないで食べさせられたりするというのはいかがなものでしょう。 考えてみると、同じコピー食品でも、キャビアやカラスミは、かなり高価だという認識がある上に、一般にはあまり馴染みがない(わたしだけ?)ということもあって、うまく住み分けができるのかもしれません。 しかし、イクラはそうはいかない気がします。 「回転寿司や駅弁、スーパーの惣菜など安い商品のほとんどが人工イクラを使用」している。 「一度は廉価な鮨ネタにも普及したが、その後不幸にもロシア産のイクラ価格が暴落、現在では市場を天然輸入物に奪われて姿を消した。」 スーパーでは見かけたことはないように思いますが、実際のところはどうなのでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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海の近くに住んでて、魚介類に疎くて情けないのですが、今、回転寿司ではコピー食品というか、代替ネタがおおはやりとか。
さらには、抗生物質バンバンの脂の乗った「生活習慣病養殖魚」も。 魚介類は焼肉よりヘルシーだと一概にいえないご時世のようです。 (2007.04.24 21:46:46)
こんにちは。
「必要に迫られて作られている「コピー食品」もあるようで、一概に非難(?)はできないようです。」 はまさしく、東洋経済のこの記事が、うまくまとめていると思います。 「食料のない時代、日本人は食べ物の切り落としでもクズでも大事に食べるために、一生懸命知恵を絞りました。」であったものが、「今は外食産業が儲けるため、値段を下げるための悪知恵に「転用」されているのです」 ということなんですよね。 http://news.livedoor.com/article/detail/8970321/ (2014.07.20 17:11:43)
最近流行りのエゴマ油なんかも元々は高価なゴマ油のコピー品、代用品ですね。
そもそも、ゴマ科とシソ科ですし。 もちろん、エゴマも悪くないものですが、ゴマリグナンやセサミンはゴマにしか含まれてないので、やはり栄養成分の少なさは否めません。 本物が手に入りにくければ、ほかの物で何とか代用というのは、古代からの人の知恵ですが、安いものはやはりそれなりという事なのでしょうか。 (2016.04.10 09:41:40) |