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カテゴリ:カテゴリーA・食品
昨日(10月6日)の続きです。
少し変わった放射線の有効利用としては、害虫の駆除というのもあります。 沖縄以南の亜熱帯から熱帯地方には、ウミリバエという昆虫がいるそうですが、この昆虫がゴーヤやカボチャなどの瓜科の植物に卵を産みつけてしまい、収穫に多大な悪影響を与えるのだそうです。 このウミリバエの蛹(さなぎ)を大量に捕獲して、単に駆除してしまう代わりに、放射線を照射することによって、「不妊のオス・ウミリバエ」を作り上げるという方法をとるのだそうです。 その後、自然に放たれた大量のこの「不妊オス・ウミリバエ」たちは、メスと交尾します。 しかし、メスがいくら卵を産んでもその卵は「不妊オス・ウミリバエ」との交尾の結果の卵のため孵ることがありません。 そのため、子どもウミリバエが生まれないということになります。 その結果、だんだんウミリバエの数が減っていくことになり、最終的には種として絶滅に至るというわけです。 即時的な効果が期待できるというものではなく、ある程度の時間的スパンが必要とのことですが、環境に悪影響を及ぼすことなく、害虫駆除が確実にできるということで注目を集めている方法なのだそうです。 このように見てくると、放射線を照射することによって人は多くの利益を享受できるというわけですが、残念ながら事はそう簡単ではないようです。 というのも、以下のような説に代表される反対論も多く存在するからです。
スパイス云々のくだりに関しては、「2000年12月、全日本スパイス協会が、スパイスに放射線を照射することに対しての認可を厚生省に要請した」ことに対する危惧です。 (前回述べたように、照射スパイスに関しては、既に多くの国々で商品化されているわけですが。) 一方、最近さかんに話題にもなっている「活性化=フリーラジカル」と照射食品の安全性については、「照射食品推進派」側の反対意見もあります。
こうしてみてくると、今盛んに議論を呼んでいる「遺伝子組み換え食品」以前に、それに近い、あるいはある意味それ以上の問題となる食品が既にあったということになります。 遺伝子組み換え食品にしても、放射線照射食品にしても、こうしてまったく正反対の意見があるということ自体、その是非、特に人体に対する影響に関しては、今現在誰にもよくわかっていないというのが実際のところのような気がします。 その影響が人間や環境にどう出てくるのかよくわからないというのであれば、個人的にはあえてそうした食品を食べたいとは思わないのですが(こんなことに、自分や家族のからだを賭けるようなチャレンジ精神は、残念ながら持ち合わせていないものですから)、しかしことは日本国内だけの問題では収まらないという状況もあるようです。 というのも、遺伝子組み換え食品、放射線照射食品、いずれの食品においても大きな影響力を持っているのはどうやらアメリカらしいからです。 (前にも書きましたが、つくづくアメリカという国は不思議な国だと驚くことがあります。 中国や日本などの輸入製品に対するチェック機能は、時として感心するくらいキッチリあるようなのに、こうした食品群はまったく抵抗ないかのように積極的に推進していくという国なわけです。 食品に対する根本的な考え方が、日本人とは違っているのかもしれません。) そして日本はというと、残念ながらアメリカの圧力には抵抗できない国です。 特に経済貿易がらみとなると、アメリカのごり押しに日本政府はすんなりと許可を出してしまうということが過去に幾度もありました。 これにさらに、大手の力のあるメーカーや有力団体の圧力などが重なると決定的です。 そうしてそのしわ寄せの行き着く先は、悲しいことに我々日本国民ということになってしまうというわけです。 納得いかないものは、納得いかないとみんなで声高に叫ぶことも必要だということになりますが、食品に利用されている放射線は、実はこれだけではないのでした。 次回こそ、今回のシリーズのメインテーマ、そして最終回になるはずです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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