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カテゴリ:カテゴリーA・食品
少し間が開いてしまいましたが、前回の続きです。
どうもいろんなところで放射線が「有効に」使われているようだ、というのが前回の最後でした。 次の展開としては、この有効に使われているという「放射線」というのはそもそも何なのか?という話になるわけです。 しかし、物理が不得手のものにとっては、残念ながらあまり望ましい話題とはいえず、うまくいくか心もとないのですが、なんとかがんばって、それもできるだけ簡略に整理したいと思います。 前回出てきたPET検診やがんの治療に使用される放射線には、「エックス線」や「ガンマ線」と呼ばれるものが使われています。 周知のように、光は波長により色が変わります。 波長が長ければ赤、更に長くなると赤外線になります。 逆に波長が短ければ、青、紫を示し、更に短くなると紫外線になります。 紫外線より波長が短くなるとX(エックス)線と呼ばれます。 ちなみに、X線とγ(ガンマ)線とは発生方法の違いで定義されているので、波長でX線とγ線を区別はできません。 今更ですが、健康診断などで撮るレントゲン写真=X線です。 X線とγ線は、「高いエネルギーを持った波長が短い電磁波」という放射線の定義のひとつとなります。 しかし、これだけが放射線というわけではありません。 例えば、がん治療の最先端で使用されている重粒子はこれらとは違います。 それは、放射線のもうひとつの定義である「高速で動く粒子」のことであり、それも「加速器」という巨大で複雑な機械を使って「人工的に」放出させた放射線ということになります。 「高速で動く粒子」には、「自然に」放出される放射線もあります。 この「自然に」放出される放射線について、その仕組みが理解できると、放射線全般についておおよそのことが分かったような気になれるので、そのあたりを少し詳しく整理してみることにします。 昔(私にとっては)、「元素の周期表」というものを覚えさせられた記憶があります。 物理の教科書の表紙の見返しあたりに、「原子番号」順に、色付けされてきれいに並んでいた表、あれです。 例えば水素とか、酸素とか、鉄という「元素」は「原子」から成り立っていて、その違いは「原子の数」だというわけです。 (水素は1、酸素は8、鉄は26の原子から成り立っている。) 話はくどい感じになってしまいますが、この原子はさらに、正の電荷を帯びた「原子核」と負の電荷を帯びた「電子」から構成されています。 そしてさらに、原子核のほうは「陽子」と電気的に中性な「中性子」から構成されています。 そして、この陽子と中性子の個数の合計を「質量数」と呼びます。 つまり元素の重さは、原子の中の原子核にある、陽子と中性子の個数の合計で決まるというわけです。 (ちなみに、原子番号=陽子の数だそうです。)
同じ原子番号の元素でも、原子核にある中性子が「決まった数よりも」多く含む元素というものがあるのだそうです。 すると、「質量数」(陽子+中性子の個数の合計)が増えるので、元素の重さは若干ですが「普通の」元素よりも重くなるわけです。 これを「同位体」(アイソトープ )と呼びます。 元素は同じでも、原子核(の中の中性子の数)が違うものがあるというわけです。 このような原子核の種類のことを「核種」といいます。
こうした同位体には、原子核の構成が「安定なもの」と「不安定なもの」があるそうです。 このうち不安定な同位体は、「自ら原子の構成をかえて、より安定な元素へ変化しようとする性質」(「壊変」、「崩壊」)があります。 こうした性質のある元素を「放射性同位体 」(ラジオアイソトープ)、 または「放射性核種」と呼びます。 この「壊変」=「崩壊」時に、原子外に放出される余った粒子やエネルギーのことを「放射線」と呼ぶわけです。 放射線には、原子核粒子を放出するα(アルファ)線(=α崩壊)と電子を放出するβ(ベータ)線(=β崩壊)があります。 どのようにして放射線が「自然に」放出されるのかというところまでは、何とかたどり着くことができたようです。 自然界にはこのような放射性同位体がたくさんあるのだそうです。 地球上(地球物質)に多い放射性同位体としては、ウラン238 (238U)、トリウム232 (232Th)、カリウム40 (40K)、ウラン235 (235U)、ルビジウム87 (87Rb) などがあります。
ということで、ここでいっきに「放射能泉」についても触れたいと思います。 (自然のすごさを感じることができます。) 長くなりますが、「温泉の科学」さんから引用させてもらいます。
具体例として、ウラン238の崩壊系列(崩壊の過程)をみてみると、
ウラン238がどんどん崩壊していって、ラジウムへ、そしてさらにラドンになることがわかりました。 では、トロンはどうでしょう。
(「温泉の科学」より http://www.asahi-net.or.jp/~ue3t-cb/bbs/special/sience_of_hotspring/sience_of_hotspring_4-6.htm) 放射性同位体が「自然に」崩壊していく過程で放出された放射線が、微量ながらも温泉に溶け込んでいるというのが「放射能泉」というわけです。 また次回に続く、になってしまいました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.10.08 10:29:11
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