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カテゴリ:カテゴリーA・食品
9月5日の続きです。
前回では、放射性同位体という元素の原子核が、自然に崩壊していく過程で放出されるエネルギーを放射線ということが分かりました。 このような分野の話題になってしまうとは予想外の展開なのですが、せっかくここまで来たのならと欲が出てきてしまいました。 ということで、もう少し整理してみます。 それは、原子力エネルギーってどうなっているかということです。 結論を簡単にいってしまうと、どうやら「原子力」と名のつくものは、原子核に人工的(人為的)に「核分裂」というものを起こさせて、その時に出る莫大なエネルギーをたとえば発電や兵器として利用するということが原理となるようです。
上述のように、原子力発電の燃料はウラン、それもウラン235のほうです。 放射能泉のほうはウラン238でした。 ウラン235も238も地球物質として天然に存在すると前回述べましたが、実は、天然に存在するウランは、その大部分が「燃えにくい(核分裂しにくい)」ウラン238で、「燃える(核分裂しやすい)」ウラン235は全体の0.7%しか存在しないのだそうです。 そのため、効率よく燃えるようにするために、原子力発電の燃料はウラン235の割合を約3~4%まで高めたものを利用します。 これを「濃縮ウラン」と呼んでいます。 (兵器として使われる場合は、ほぼ100%に近くなるまでウラン235の割合を高めますが、原子力発電の燃料とする場合は3~4%の濃縮でいいのだそうです。)
現在、日本には17ほどの原子力発電所があり、50基以上の原子炉が稼動しているようです。 さて上述のように、原子力発電のエネルギーは、原子炉の中で燃料の(濃縮された)ウラン235に中性子を衝突させ、核分裂を起こしてエネルギーを発生させることで生まれるわけです。 では、ウラン235よりもその割合の多いウラン238(というよりも、96~97%がウラン238なわけですから、実際はほとんどがウラン238といってもいいわけですが)は、一体どうなるのでしょうか。
ウランを燃やすとプルトニウムができるというわけです。 プルトニウムと聞いて、いいイメージはまったく湧かないのですがどういうものなのでしょうか(「恐怖のプルトニウム人間」というB級映画があった記憶があるのですが・・・すいません、調べたら「戦慄!プルトニウム人間」でした)。 プルトニウムは自然界には存在しない元素なのだそうです。 そしてやはり、危険性の高い物質のようでもあります。
話を少し戻しますが、濃縮ウランをつくるということは、残りの天然ウラン中のウラン235の濃度はさらに低くなるということになります(自然界に0・7%あるウラン235が濃縮のために抽出されたあとに残るウランは、ほとんどウラン235がない=ほとんどウラン238ということになります)。 この残りのウランのことを「劣化ウラン」(ウラン235の割合は0.25%程度)というそうです。 天然ウラン160トンからできる濃縮ウランは25トン、残りの135トンは劣化ウランとなります(全体の約15%が濃縮ウラン、約85%が劣化ウランという割合になります)。 つまり、原子力発電を稼動させることによって、ゴミともいえる放射性物質を2種類出してしまうというわけです。 ひとつは核兵器にもなり得るやっかいなプルトニウムであり、もうひとつは大量に出てしまうウラン238です。 これをどうにか有効利用できないかということで考え出されたものが、プルトニウムとウランを混ぜた「MOX燃料」というものを、通常の原子力発電所(軽水炉=サーマルリアクター)で利用する「プルサーマル」というものです。 エネルギー資源が有効に使えるということで、盛んにいわれているもののようです(「核燃料サイクル事業計画」)。 原子力エネルギー関係の情報でよく耳にするキーワードが、今回ひととおり理解できたような気がするのですが、本題からは少しずれてしまいました。 放射線についていちばんに知りたいことは、なんといっても「それって安全なの?」ということです。 次回は放射線の安全性についてです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.09.15 11:44:28
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