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ゆきよきの言語学・夏目漱石・日本史

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2017年10月23日
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カテゴリ:雑記
(5)真史

 さてここまで、40歳を迎えるにあたって思うところを述べていくつもりで「徒然なるままに」執筆してきたのであるが、大半が自分の人生の振り返りとなってしまった。けれどもこれでいいのではないか。三浦つとむもいっているではないか。「新しい未来を発見するために過去から学ぶ」(三浦つとむ『弁証法はどういう科学か』)と。

 ではここで、この「新しい未来」とはどのようなものか、少し考えておきたいと思う。

 我々京都弁証法認識論研究会の会員が学問の構築を志すのは、何も難解なパズルを解いた時のような知的興奮を味わいたいがためでは決してない。現実が突きつけてくる問題を解決する指針を得るためである。つまり、現実とは何の関係もない頭の体操をして満足したいがためではなくて、現実の世の中を良くしていくためにこそ学んでいるのである。なぜ景気が良くならないのか、誰もが幸せに暮らせるようにするにはどのような経済政策が必要なのか、なぜうつ病が生じるのか、精神疾患はどのようにすれば治療できるのか、学校でのいじめの問題をどのように解決するのか、子どもたちを立派な大人に成長させるためにはどのような教育が必要なのか、といった現実の問題を説く(解く)ためにこそ、我々は学問への道を歩んでいるのである。そこには強烈な問題意識があり、解いても解かなくてもいいようなパズルをするのとは次元の違う覚悟が必要なのである。我々の学問は、こうした感情に突き動かされて発展してきているのである。

 ここで「感情」と述べたが、この「感情」も決して個人的な我儘といったレベルのものではない。毎日酒を飲みたいとか、満員電車に乗っていてある駅に停車した時に後ろからおっさんに「ちょっとどいて!」といわれてムカッとした(そこは「すいません、通してください」だろ!)とか、学校史上最高の点数の通知表をもらってうれしかったとか、課長に昇格できなかって落ち込んだとか、そういう類のものではない。人間は社会的な存在であるから、「感情」も社会的に創っていく必要がある。現実の日本を、現実の世界をよりよく創っていくためにこそ、自分自身のアタマを鍛えるのだ、そういう「感情」でなければならないのである。

 だから「新しい未来」ということについても、それが毎日上等の酒を浴びるほど飲んでもなくならないくらいの金を持っている未来だとか、どこかの首相みたいに自分は偉くてムカついた相手なら徹底的に攻撃(口撃)したり、お友達相手なら権力を笠に利益を供与したりするといったような会社のトップになっている未来だとか、そんな個人的なものでは決してないのである。人類の発展史を踏まえ、人類の英知を結集して創られていく(創っていく!)あるべき社会像のことをいうのである。大げさにいえば、こうした「未来」を展望するために、私は今、自分の「過去」を振り返ってきたのである。

 では私は、ここからの人生で何をなすべきか。それはもちろん、言語学の創出である。私が夏目漱石『こころ』に衝撃を受けたのはなぜなのか、「メジャー」の吾郎がチームメイトに希望を与え、チームメイトによって苦境から脱することができたのは言葉のどのような力によってなのか、こうした問題が明らかにできるだけではない。言語学の創出によって、人間と人間との精神的交通がより発展していって、人類の認識そのものの発展、すなわち学問全体が大きく発展すると考えているのである。さらにいえば、人間とはどういう存在かを解明するための大きな指針を言語学は与えてくれるはずである。逆にいえば、言語を解明することなしには、学問の発展も人間とは何かの解明も望めないのではないかと考えている。こうした日常的な個々の問題から、人類社会全体に関わるような大きな問題まで、言語学の構築によって解明できるのではないかと思うのである。

 と、大上段に述べてしまったが、本稿を執筆するまでの私はスランプに陥ってしまっていたのであった。9月に行われた合宿形式の勉強会のレポートは書けないままで、毎月の振り返りも9月分は飛ばしてしまった。先日までブログ掲載していた9月の例会報告も提出が遅れに遅れ、内容的にも十分満足できるものではなかったし、変形生成文法の研究も行き詰まってしまっている。しかし本稿を執筆することによって、今の一瞬一瞬が未来の自分を、未来の日本を、未来の世界を豊かに創っていけるかの鍵であるという自覚が芽生えてきて、新たな一歩を踏み出していくのだという決意が沸き起こってきたのである。読者の皆さんに喜んでもらえたか、格調高い文章だったかは別にして、これだけでも本稿を執筆した意味は私にはあったと思える。願わくは、「新しい未来」において、本稿が私だけではなく、日本や世界にとっても意味があったとなってほしいものである。ここを主体的に捉え返せば、本稿をきっかけに新しい自分、新しい日本、新しい世界を創っていくのだという決心をしたということである。

 この間の気持ちの揺らぎを一掃して、真に自分の人生を歩めるように生まれ変わるのだという意気込みでやっていかなければならない。私の人生の前史は今終わった。ここからが私の本当の人生の始まりである。

(了)





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最終更新日  2017年10月23日 06時00分17秒
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ガラスの玉は、本物の真珠をきどるとき、はじめてニセモノとなる。

政治の分野であろうと学問の分野であろうと、革命的な仕事にたずさわる人たちは道のないところを進んでいく。時にはほこりだらけや泥だらけの野原を横切り、あるいは沼地や密林をとおりぬけていく。あやまった方向へ行きかけて仲間に注意されることもあれば、つまずいて倒れたために傷をこしらえることもあろう。これらは大なり小なり、誰もがさけられないことである。真の革命家はそれをすこしも恐れなかった。われわれも恐れてはならない。ほこりだらけになったり、靴をよごしたり、傷を受けたりすることをいやがる者は、道に志すのをやめるがよい。

孤独を恐れ孤独を拒否してはならない。名誉ある孤独、誇るべき孤独のなかでたたかうとき、そこに訪れてくる味方との間にこそ、もっとも深くもっともかたいむすびつきと協力が生まれるであろう。また、一時の孤独をもおそれず、孤独の苦しみに耐える力を与えてくれるものは、自分のとらえたものが深い真実でありこの真実が万人のために奉仕するという確信であり、さらにこの真実を受けとって自分の正しさを理解し自分の味方になってくれる人間がかならずあらわれるにちがいないという確信である。

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