足し算を乗数にする思考法
何か課題が見つかった時に、なんとか解決したいと考えるのが人間の常だと思いますが、その解決策を生み出すプロセスやどこまでイメージ出来るかによって、解決策の強さや広がりが大きく変わってきます。課題を解決策を考えるプロセスにおいて、まずその課題が起こる要因や背景を考えて、変えられるコトと変えられないコトに分類します。変えられないコトに関しては、優先順位は後になり、まずは変えられるコトに注目して、その中から影響力の大きいコト、変えやすいコトをピックアップしていきます。ここで大切なコトは、影響力の大きさを見る時に深さや広がりを考えるコトです。木を見て森を見ずという言葉がありますが、影響力が大きいが故にその部分だけを見てしまい、部分最適になってしまわないかに注意を払い、全体最適の視点を忘れないコトです。影響力が大きなコトを広く深く見て、全体最適で捉えることで、課題解決が単純に足し算ではなく、乗数的に効果が大きくなります。例えば、営業マンの時間がないという課題が見つかった時に、時間が掛かっている見積もり業務に焦点が合うかも知れませんが、見積もりだけでなく、インサイドセールスで出来ることを徹底的に分類し、本当に営業マンがやるべきコト以外をやらないようにする!くらいの視点を持つことが出来ます。部分最適を沢山改善していくことも大切ですが、根本的な改善を目指すためには、全体最適の視点がどうしても必要です。さらに足し算を乗数にする思考法として大切なのが、一石三鳥を狙うことです。1つを解決するだけでなく、一石二鳥の言葉通り、一度に2つを解決するだけでもなく、少なくとも3つ以上の解決をイメージすることです。二乗以上になって初めて、乗数の効果が飛躍的に高まるので、2つまでで妥協せず、全体最適を踏まえた上で、3つ以上に膨らませることです。一石三鳥を考える時に、大切にしている考え方が、近江商人の活動理念である「三方よし」の考え方です。「買い手よし、売り手よし、世間よし」、言い換えれば「相手よし、自分よし、世間よし」になります。3つめの「世間」を今風に言えば、「社会性」を大切にすることです。この「社会性」の観点を持つことで、相手の共感性も高まりますし、なんと言っても協力してくれる人が飛躍的に増えていくことになります。SDGsの考え方が一般化した現代において、この「社会性」の考え方がとても大切です。課題を社会性にまで昇華させる考え方こそ、足し算を乗数にする思考法の典型だと思います。絶対に、そのような思考を習慣化したいものです。