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9月6日の日経新聞に掲載されていた「経済学教室」の内容が面白かったので、ちょっとエッセンスの部分だけご紹介します。
書き手は御茶ノ水女子大で、哲学を教えている土屋賢二先生。土屋先生は週間文春にもエッセイを連載しており、10年以上前に、一度だけ単行本を買ったことがあります。(笑) 哲学専攻の大学教授が何で日経の経済学教室に・・・?と考えつつ、興味津々、内容を読み進めていくと、まさにその通り!と思わず膝を打ってしまいました。私も常々そうだと思っていましたが、上手く表現する語彙力が無いため、土屋先生の著述の一部分を引用させていただきます。 「・・・。人間の下す決断というものは本質的に気まぐれで予測不可能だ。10円を惜しむ人が、状況が変わらないのに100万円の時計を買ったりする。長年連れ添った妻の消費行動を予測できる夫はいない。そういう人(私注:妻の消費行動を予測できない夫である経済学者)が世界の経済を予測しろといわれるのだ。つくづく経済学者でなくて良かったと思う。」 「経済学に限らず、人間の気まぐれな行動を考慮しなくてはいけない学問は緻密さをもちえないように思われる。これは本質的で克服不可能な困難だと私は思う。」 今から20年くらい前、私が立正大学の経営学部の1年生だったとき、学部に非常に教育熱心であり、私も尊敬していた組織論のK教授がいらっしゃいました。K先生いわく、社会科学の中でもっとも有用な学問は経営「学」であり、法律を勉強する奴は頭でっかちで、商学(会計)を勉強する奴は根暗な奴(←税務や会計を飯の種にしている私はココに該当。)で、経済学を勉強する奴は数学オタクで、いずれも(経営学との比較において)社会での有用性は低い、というのが持論でした。(笑) 学生時代、そのK先生とたまたま話す機会があり、経営「学」の「学」の部分に胡散臭さを感じつつあったへそ曲がりの劣等生である私は、「先生は何十年も経営学の勉強をなさってるんですから、ご自分でご商売を始められたら、合理的な経営の結果、大金持ちになれるんじゃないんですか。」と思わず聞いてしまいました。(少し皮肉をこめて聞いたんですが、K先生、怒るとメチャクチャ恐いんですよ。笑) そうするとK先生、私の顔をじっと見て、ニヤッと笑って「学者が商売をやって儲かるほど簡単なもんじゃないよ。」とおっしゃっていました。やはり「学」の限界は認識されていたようです。 経営者は日常的に会社の「経営」について、四六時中あれこれ考えていますし、私だって一個人事業主として、事務所「経営」については、右手にハンドルを握っているときでもあれこれ考えたりしています。(笑)ですから企業経営者にとっての「経営」はとても大切なものであることは確かなんですが、企業家の行動が企業価値にどのような影響を及ぼすかを正確に予測できるのは、恐らく神様しかいないんだろう、と私個人は考えています。(笑) 最近、私の事務所に会計事務所向け経営コンサルタント会社(税理士法人)から、経営コンサルします!ウチのアドバイスに従えば売上○倍増!というダイレクトメールがよく届きますが、全てゴミ箱直行です。(コンサル会社の母体が会計事務所というところも多いですし)そんなに儲かるなら人に教えないで自分でやったら?という感じです。(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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