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カテゴリ:SDGsの6「安全な水」について。
SDGsの6。水を汚すものの種類について考える。
SDGs/Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の 六番目、「安全な水とトイレを世界中に」の目標関連として、これま で当ブログでご紹介してきたいわゆる現場目線での水につい てのあれこれをひとくくりのカテゴリーにしてご紹介していくシ リーズの5回目、今回は農業による汚濁の回です。よろしかったら。 ↓ 『2014年/水を汚すものの種類について考える。』 水の汚れには、無機汚濁(化学物質による汚濁)と有機汚濁(家庭や 工場、農地などからの排水に含まれる有機物による汚濁)があります。 このうち有機物汚濁の原因となるものを具体的に説明しますと、食物 の残飯や排泄物などを含んだ生活排水や 動植物由来のものなどがこ れにあたります。 生活排水はまだしも動植物の汚染源などがそんなにあるものなのだろ うか・・・と思われる方もおおいとおもわれますのでたとえば農業生 産の分野を例にとって説明しますと、まずは ナタネ粕や綿実粕、米 ヌカなどが植物質の肥料[遺骸ともいえます]が これにあたります。 そして動物質では 骨粉や皮革粉、血粉や鳥の羽、魚粕などの肥料が 動物質の遺骸などがこれにあたります。そしてもうひとつ、家畜由来 のふん尿やこのふん尿から作られたきゅう肥・たい肥 などがあります。 これらの有機物汚濁は、適切な処理をおこなったあとで適量を施すの なら問題にはなりません。 問題となりやすいのは、 生や生に近い状態で使用する 場合です。 問題となりやすいのは、 量を考えずに大量に施用する 場合です。 多量に施された生の有機物が水域に流入した場合に、水環境へ多大 な影響をもたらすことが問題となるのです。 そのような有機物の水環境への悪影響については ● 腐敗することで悪臭を放つ ● ヘドロとして蓄積される ● 微生物に分解される時に水中の酸素がなくなっしまう ● 結果として魚類などの水中で暮す生き物が棲めなくなる ことなどが挙げられます。ちなみに水の汚れの指標に「BOD」とい うものがあって、このBODの値が大きいと汚れた川といううことに なるのですが、きれいな川にすむイワナやヤマメといった魚はBOD が2mg/L以下、アユやサケは3mg/L以下、汚れに強いと言われてい るコイやフナでも5mg/L以上は適さない とされています。 水環境への悪影響が続いていけば、生育環境は悪化し最終的にその 水域に住む生物の住環境は破壊されていくというわけですね。 というわけで今回は 水の汚濁を農業の面から、そしてとくに有機 汚濁の面からみてみたのですが・・・ 「無機汚濁にとらわれすぎるあまり、まちがった有機の使用や施肥 を推し進めていくものだとすれば、それは確実に生物の多様性を危 うくしてしまいますよ、というおはなしでした。 なんといっても、水の汚染はいずれはわれわれヒトにも影響してき ます。みじかなところで たとえば現代の井戸水など問題ありあり、 あすは我が身的な、そんなはなしにもつながってまいりますから。 ![]() 「水生生物調査」「植物観察」「野鳥観察」など生き物を利用 した調査がありますが、たとえば「水生生物調査」では水環境 の悪化とともに「まずは生物相が単純化し、そのつぎに水質に 合った特殊な生物の個体数だけが増加していく」ことが知られ ています。ちなみに環境省の資料による底生動物の指標生物を 取り上げると次のような生物の変化がおこっていきますよ。 カワゲラ→ウルマシマトビゲラ→エルモンヒラタカゲロウ→ コガタシマトビケラ→力ワニナ→スジエビ→ヒメタニシ→シマ イシビル→ミズムシ→モノアラガイ→オオユスリカ→イトミミ ズ→サカマキガイ→チョウバエ と、こんな具合。→ こちら。 もちろんカワゲラが多いほど有機汚濁が少なく、チョウバエや ユスリカにイトミミズが多いほど有機汚濁が多いものと判断し ます。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 11, 2021 06:30:12 PM
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