※原作がある映画なのでライトにネタバレしてます
♪優しすぎたの、あ~なた 子供みたいな あ~なた 明日はたーにん同士に、なるけーれど~♪ <ーお約束でテレサ・テンの「つぐない」を熱唱。
「プライドと偏見」のスタッフで制作された、キーラ・ナイトレイがイギリスの田舎で恋愛するという映画だから、また同じような感じなのかな~?と思っていたのですが、もう全!然!違う。それは、恐ろしい~恐ろしい映画でした(淀川長治風に)。
話は変わりますが、この夏NHK BSプレミアムで放映されたばかりの海外ドラマ「シャーロック」にハマった私。ジェレミー・ブレットを超えられるわけがないだろう、と思っていたのですが、「シャーロック」の舞台は21世紀のロンドン。
これが結構面白かった・・・このゲイフレンドリーなドラマについては改めて書きたいと思っているんですが、シャーロック役のベネディクト・カンバーバッチがこの映画にも出ていると言う事で、チェックしてみたわけです。
ヒ ロインはキーラ・ナイトレイで、相手役 はジェームズ・マカボイ(とっちゃん坊や風で、トビー・マグワイヤと同じ系統の俳優)。この二人はお嬢様と家政婦の息子という身分違いなんだけど惹かれ 合っているという設定(ちなみに家政婦の役は、「プライドと偏見」でキーラのお母さん役だったブレンダ・ブレッシンでした)。キーラの妹(シアーシャ・ ローナン)もマカボイのことを好きと言う三角関係(妹は13歳なのでマカボイには相手にされていない)。
この妹を演じるシアーシャ・ロー ナンが、こ わ い・・・!!見るからに、屈折しているファンタジーを心に抱えた少女という風で、作家志望。そんな彼女が「ハッ!」と目を見開いて姉キーラとマカボイのこ とを嫉妬しているシーンや、足早に廊下を歩くシーン、これからどんな不幸がキーラ達を襲うのか・・・と全身が嫌~な予感で包まれます。
ベネディクト・カンバーバッチはキーラの兄の友達ということで別荘にやってくる 。金髪だし、なんか別人みたい。シャーロックの ときはすごく細いからきっとすごく役作りをしてるんでしょうね。結構カメレオン系の俳優なのかな。にしてもこの方も演技派!!あれ、なんか、ロリ・・・?みたいな演技、素晴らしいです。
あとで、この兄貴の友達の濡れ衣をかぶる事になるのが、マカボイなんだよ・・・。あわわわ・・・。
その夜、別荘に滞在していたキーラとシ アーシャの従姉妹(15歳くらい?)が何者かによって暴行される事件があり、シアーシャの証言でマカボイが犯人ということにされてしまいます・・・。見た のは本当にマカボイなのか?と警察に念を押さえれますが、シアーシャは「絶対、彼に間違いない」ということで、マカボイは連行。その直前に思いを告げ合っ たキーラとマカボイは非情にも引き裂かれてしまうのです。
でも、「私のものにならないのならば、いっそお前をこうしてやるうううう!!」という シアーシャの気持ち、わからないでもない・・・。相手にしてくれないストーキング相手を殺すストーカーのような心境でしょうか。13歳の多感な少女(しか も作家志望)であるからこそ、ここまで残酷になれる、みたいな・・・。女は何歳でも怖いね。それに、川にわざと飛び込んでみたりして相手を試す気持ちもわ かる!「溺れるところだったぞ!」とカンカンに怒るマカボイを見て「私の為にそこまで!」って萌えてみたりね。まあ勝手っちゃあ勝手なんですが・・・。
し かし、この嘘のせいで・・・シリアスに大変な事に!大変っていうか、人の人生を不幸のどん底に変えてるし、本当にシャレにならない事態になってしまっ た・・・見ている方も、胃にググっとくる描写が続きます。この映画のヒロインはキーラだと思っていたけど、真のヒロインは三人の女優によって年代ごとに演 じられる妹の方だと気が付きます。「つぐない」は彼女が犯した罪への行為だった・・・しかもあまりに重すぎる罪!
18歳になった妹は看護 婦の研修生になっていますが、思い込みの激しそ~な目つきのこの女優は、どっかで見た事ある・・・。と思ったら、「エンジェル」のロモーラ・ガライでし た。いや、配役ぴったり・・・。ロモーラさんは82年生まれで、キーラより3つ年上なのに18歳くらいにしか見えないところがすごい。
そ して、現代。晩年の妹は作家になり大女優、ヴァネッサ・レッドグレーブが演じています。ここで一気にネタバレ。あーあ、あーあ・・・・やっぱり妹が姉の家 でマカボイと話すシーンは変だな?と思ったらそういうことか・・・。重い、重すぎる・・・はああああああ・・・小さな嫉妬による嘘で、人の人生変わってし まいましたよ(しかも考えうる中で最悪の結末に)。
やるせない気持ちでいっぱいになる映画なのでした。キーラ目線での鑑賞も辛いけど、妹目線の鑑賞はもっと胃にくる。でも良い映画だと思います。ジョー・ライト監督は、キーラ主演でまだ映画化されてないイギリス小説をコンスタントに作ってくれないかなあ・・・。