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カテゴリ:オリジナルBL小説「落日」
BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 僕がティッシュで身体を拭いて後始末をしていると、3年の 先輩達が財布から5千円札を出して、金田先輩に差し出した。 「へへっ・・・毎度あり。」 金田先輩はティッシュで拭いたばかりの手で、それを受け取り、 僕に1枚渡して、 「麻里緒は5千円で良いよな。パーティーの酒代とかもいったし、 1万円のうちの半分の5千円は俺と常磐の企画料っていうか 斡旋料ってことで。」 と言った。僕は最初、金田先輩が何を言ってるのか意味が 分からなかった。 「麻里緒も気持ち良い事して金が儲かるんだから良いだろ? 麻里緒のこと話したら、やりたいって奴がいっぱいでさ。 これから毎週よろしく頼むよ。」 金田先輩が笑顔で僕の手に5千円札を握らせようとした。 僕は思わず、 「要らない。」 と言って、5千円札を投げ捨てた。 「おい!金は受け取っとけよ!麻里緒の苦しむ顔が見える だけで十分俺は楽しめるから最初はまわすつもりだったんだ。 それを金田がタダなんてもったいないし、まわすのは可哀相だ って言うから、1人5千円って値をつけて、このパーティーを 企画したんだぜ。金が要らないって言うなら、麻里緒の 取り分なしで俺と金田の2人で分けるぞ。これから先も 何十人って客をとらせてやる。タダで男と寝たいなら、それでも 構わないぜ。麻里緒は公衆便所になりたいのか?」 常磐先輩が恐い顔をして僕に言った。すると、金田先輩が 床に落ちた5千円を拾って、もう一度、僕の手に握らせた。 「悪い事は言わないから、受け取れよ。常磐は本気だぞ。 公衆便所と娼婦とどっちが上だと思う?麻里緒は便所には なるな。」 金田先輩がいつもと違って、真剣な目をしていたので、僕は 5千円を黙って握りしめた。僕は身体を売る人間は最低だと 思っていた。小学生の時に100万円で魂を売ったと人から 罵られ、身売りされたと嘲られた時も示談金なのだから 恥じる事はないと自分に言い聞かせた。優しかったお兄さんが 刑務所に入ったら可哀相だからお金を受け取っただけで、 お金に目がくらんだのではないと胸を張って人に言えた。 僕がそう言ったら、皆はホモだって僕の事をいじめたけど、 僕は間違った事はしていないのだから、今まで身体は穢れても 心は穢れていないと自分では思っていた。今日だって僕は 男の数が7人から9人に2人増えただけだと思っていたのに 身体を売られていたなんて知らなかった。僕は何があっても 身体を売るなんてしたくなかった。お金を受け取ったら、僕の 魂が穢れるような気がしてたから、本当にお金は要らなかった。 僕の心はとうに腐り果て、善悪の区別さえ失くしていたけれど、 僕はいつまでも被害者のままでいたかったのかもしれない。 今日、僕は脅しに屈して、自分がなりたくない最低の人間に なってしまった。僕の瞳からは涙が溢れ、手に握りしめている 5千円札にポタポタと落ちていった。濡れてしわくちゃになった ボロボロのお札は僕の心に似ていた。僕は破れそうになった 5千円札をいつまでも握りしめて泣き続けた。 (完) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年04月20日 14時34分14秒
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