|
カテゴリ:F1・モータースポーツ
「Danke Michael (ありがとう ミハエル)」 これはBMWザウバーのリアウイング裏に書かれていた言葉だ。 ブラジルで引退する、同じドイツの偉大な皇帝に敬意を表しての事だが、厳しいスポンサー規定のあるF1では、非常に珍しい事だ。 もっとも場所が場所だけに、好調なBMWの後ろからでないと、ミハエル本人は見えないわけで、ある種非常に強気なジョークでもある。 「ありがとう、ミハエル。抜いていくぜ!」って事か。 ところがご存知のように、ブラジルでは表彰台の三人以外は、すべて偉大なるミハエル・シューマッハに抜き去られてしまった。 勝ったのは地元のマッサだった。チャンピオンもアロンソだった。だが、主役は誰が見てもミハエルその人に他ならない。 トラブルで失った予選順位に加え、レース中のパンクにより最下位に落ち、条件は揃った。 ミハエルは通常ポールポジションか、それに近い予選位置から、巧みなピットワークで勝つパターンが多く「最近のF1は追い抜きが少なくつまらない」という批判の要因でもあった。 ところが首位から約70秒遅れた位置から、これまでの批判など全て吹き飛ばすパッシング・ショー。勿論BMWの例のコピーを確認しつつ、誰も撃墜する事もなく。 ショーは超新星、元ポチ、パンクの原因を作った奴、来年のフェラーリドライバー等、全て抜き去り、好調なバトンに迫った所で終わった。 首位マッサとの差は24秒。これから70秒引くと……。 ちなみにSAF1は、トヨタ、ウィリアムズが早々に消えた事もあり、琢磨10位!左近は16位。驚いた事にファステスト・ラップでは、左近7位!琢磨9位!であった。 予選の早さは無いが、レースペースでは中位チームと肩を並べる事が出来た。逆に言えば二人は予選並みのペースでレースをしていたという事でもある。これは正に驚異的といってもよい結果だろう。 来年もしSAF1が生き残れたら、ブラジルタイプのサーキットでは、好成績を上げ、ポイントも夢ではないだろう。 SAF1の参戦は成功したのだ! ミハエル夫人、コリーナは「長い間無事で、一度足の骨折をしただけで、無事帰宅できる事」が嬉しいとインタビューに答えていた。 私の敬愛する長谷見昌弘氏も、引退の時に「五体満足で終える事が出来た事がなによりだった」と述べていた。野蛮だった時代を生き抜いたレーサーにしか言い得ない言葉だと思う。 こうして引退を無事に祝ってもらえる、恵まれたレーサーは少ない。その中でもミハエルは、およそ考えうる、最高に近い形で終える事が出来た。 いろいろ批判の多い皇帝だったが、そのキャリアは見事という他は無い。 「ありがとう、ミハエル・シューマッハ。たいした奴だよ!」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[F1・モータースポーツ] カテゴリの最新記事
長谷見さんですが、長い現役時代の怪我について聞かれたときに
「え~とこれだけかな。。」といって足のほんの小さな火傷あとをみせたそうな。 かっこいいですね! (2006.10.23 12:08:40)
二人はセットアップが決まって、初めて快適にドライブできたのかも知れません。いろいろな噂が流れましたが、ちびっ子レーサーに希望を与えるためにも、琢磨と左近のコンビを続けて欲しい。F1レースを続けないと経験が蓄積できませんから。
マッサとライコネンの決闘は面白くなりますね。シューマッハの気迫を学んで欲しい。アロンソはマクラーレンで孤独に苦しむでしょうが、それでも強いはずです。 バトンとホンダの可能性にも光が差してきました。来年は2・3回勝ってほしい。2基の風洞をフルに駆使したというRA107はどんなマシンでしょうね。 (2006.10.23 12:31:16)
tak_123さん
こんにちは。コメントをありがとうございます。 長谷見さんがレースで死を意識したのは、1976年F1イン・ジャパン予選でのクラッシュと、1000馬力を超えた日産Cカーで引っくり返った時だそうな…。ターボ時代のF1以外で、1000馬力を操った彼らもモンスターでしたね。 足の火傷あとの話は初めて聞きました。かっこいい話ですね!お聞かせくださって感謝です。 (2006.10.23 14:06:45)
ROLAN727さん
SA06Bは、レースで距離を稼いで、ようやく仕上がったのでしょうか。最終戦でそれなりの成功を収めたことはなによりです。左近も時折速さを見せましたが、きっと左近なりに重圧があって、萎縮していたのでしょうね。来年左近の地位に変化があるかどうか、占う術はありませんが、F1の世界には踏みとどまりそうな気がします。また、ここ数戦クビサの成績が振るいませんね。今回は琢磨とあまり変わらない結果にはちょっと落胆です。 来年はブリヂストン・ワンメイクですから、ホンダのドライバーにも微妙な変化がありそうです。RA107の仕上がりは興味深い所です。 (2006.10.23 14:15:09)
ミハエルは、確かに凄腕のドライバーでした・・・。一発の速さだけでなく集中し続ける能力も超一流でしたし、人脈の作り方も卓越していたことを伺わせますね。
私は彼の醜聞も私なりに消化していて、個人的には嫌ってはいません、むしろ今回勝ってやめさせてあげたかったほどでした。 「FIAはミハエルを辞めさせたかったのか」という仮説を立てましたが?それは私の思い違いだった気がします・・・確かにミハエルに代わる新しいスターが出てきて欲しかったことは事実かも知れませんが、彼がいなくなる事で全て解決する問題ではないからです。 強すぎてFIA困らせた凄い奴と言うのが本当のところかもしれませんね・・・。 (2006.10.23 17:20:11)
遼 銀河さん
>「FIAはミハエルを辞めさせたかったのか」という仮説を立てましたが?それは私の思い違いだった気がします・・・ ううむ…。 FIAが辞めさせたかったのは本当だったとは思いますよ。 長すぎる天下には、必ず飽きが来ます。本当の意味でのライバルはハッキネンだけでしたから、好敵手の不在は大きな問題です。 辞めると決まっているから、惜しまれているのであって、あと3年強いままだとすると、ちょっと…という感じですものね。実際そうなりそうだし(笑)。 そろそろ何とかして欲しかったのは事実だと思います。 (2006.10.23 18:50:10) |