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アルタクセルクセスの王宮址遺跡

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2007年02月15日
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カテゴリ:歴史・考古学
(引用開始)
【こぼれ話】クレオパトラは美女じゃなかった?=古代貨幣に肖像
2月15日2時7分配信 時事通信

【ロンドン14日】「絶世の美女」だったといわれる古代エジプトの女王クレオパトラ。しかし、英ニューカッスル大学で13日から展示されている紀元前32年の貨幣に描かれた肖像によれば、実際にはそれほどでもなかったようだ。
 肖像のクレオパトラはとがったあご、薄い唇、鋭角的な鼻の持ち主で、飛び切りの美人というわけではない。英劇作家シェークスピアはクレオパトラの容貌について、言葉では描写できないほど美しいとして「とても言い表せない」と表現したが、これには図らずも別の意味があったことになる。貨幣の裏側には恋人とされたアントニー(アントニウス)の肖像もあるが、こちらもかぎ鼻、どんぐり眼、太い首と冴えない容姿だ。
 ニューカッスル大の考古学者リンゼー・アラソンジョーンズ氏によると、絶世の美女とのクレオパトラのイメージは、英国では中世の詩人チョーサーの作品までさかのぼれるものの、比較的新しい。古代ローマ時代に書かれたものでは、クレオパトラは知的でカリスマ性があり、魅惑的な声をしていたとなっているが、美女との言及はないという。
 同氏は、美女であるとのイメージは、米映画「クレオパトラ」(1963年)でクレオパトラ役にエリザベス・テーラーのような美人女優が起用されたことで確立した「永遠の神話」の一つだとしている。
(引用終了)


 同じニュースのドイツ語ソースはこちら

 へえ・・・・・。そういう話は以前から聞いているが、たった一つのコインの肖像を元にそんなこと言っちゃっていいんですかね。確かにそのコインの写真を見ると、少なくとも現代人の感覚では美人とは言いがたい横顔ではあるが・・・。ずいぶん摩滅してるね、これ。
 現代のコインと2000年前のコインとでは製作技法も表現の精密さも違うが、参考までに現代の女王たちと彼女たちの顔が彫られたコインを紹介してみる。どうです?どのくらい似てます?金正日のアレな宣伝画よりは似てるかな。

 ・イギリスのエリザベス2世とそのコイン
 ・オランダのベアトリクス女王とそのコイン
 ・デンマークのマルグレーテ2世とそのコイン

 クレオパトラは「世界三大美女」の一人(誰が決めたんだ?)として美女の代名詞になるほど、あまりに有名なエジプト女王だが、その名前ほどにはどういう人物か知られてないんじゃないだろうか。
 細かいことは書かないが、彼女の事績をざっと年表にするとこんな感じ。

・紀元前70/69年 エジプト王プトレマイオス12世の三女として生まれる
・前51年(18歳) 父の死を受けて女王に即位。
         弟プトレマイオス13世と結婚し共同統治者に
・前48年(21歳) 夫(弟)との政争に敗れ追放される
         ローマ軍の司令官ユリウス・カエサルの支援で夫を敗死させる
         別の弟プトレマイオス14世と結婚するが、カエサルと交際
・前47年(22歳) カエサルの子カエサリオンを産む。ローマに渡る
・前44年(25歳) カエサル暗殺される。エジプトに戻る
         夫が死去、カエサリオンをプトレマイオス15世として共同統治
・前42年(27歳) ローマ帝国の有力者マルクス・アントニウスとタルススで会見
・前40年(29歳)(アントニウス、オクタウィアヌスの姉オクタウィアと結婚)
         クレオパトラはアントニウスの子(男女の双子)を出産
・前36年(33歳) アントニウスの男子を出産 
・前32年(37歳)(アントニウス、オクタウィアと離婚)
         アントニウスとクレオパトラがオクタウィアヌスとの対決を明確に
        (ローマ帝国が内戦に)
・前31年(38歳) アクティウムの海戦。
         クレオパトラの敵前逃亡により、アントニウスが大敗
・前30年(39歳) ローマ軍エジプト侵攻。アントニウスに続きクレオパトラも自決
         カエサリオンがオクタウィアヌスに処刑され、エジプト王国滅亡

 彼女はエジプト人のエキゾチックな姿で表現されることが多いが(アフロ・アメリカンの中には、クレオパトラを黒人女性と固く信じる説がある)、プトレマイオス王家はマケドニアのアレクサンドロス大王の部将がエジプト王になった家系であり、歴代の近親結婚もあって彼女の風貌は間違いなくギリシャ人のそれだった。
 このコイン以外での絵画や彫像に表現されたクレオパトラの風貌はいかなるものか。まず彼女の若い晩年に作られた大理石像(ヴァチカン博物館像)が挙げられる。「修正」が入ってかなり美化されているのかもしれないが、この像を見る限りでは醜女というには当たらない。同様な大理石像はベルリンのアルテス・ムゼウムやフランスの個人コレクションにも収蔵されている。
 またルーヴル美術館には彼女がイシス女神に拝礼する姿を描いた石碑が所蔵されているが、彼女の風貌を窺うのは困難である。

 彼女の風貌についての文字での記録は、史料的価値はさほど高くないとはいえ、ほぼ同時代(100年後)の歴史家プルタルコスが書いた「対比列伝」のアントニウスの項の記述(第27節)がある。以下ちくま学芸文庫版(秀村欣二訳)から引用。
彼女の美もそれ自体では決して比類のないというものでもなく、見る人を深くとらえるというほどのものではなかった。しかし彼女との交際は逃れようのない魅力があり、また彼女の容姿が会話の際の説得力と同時に同席の人々のまわりに何かふりかけられる性格とを伴って、針のようなものをもたらした。彼女の声音にはまた甘美さが漂い、その舌は多くの弦のある楽器のようで、容易に彼女の語ろうとする言語にきりかえることが出来、非ギリシア人とも通訳を介して話をすることは稀で、大部分の民族には・・・・・いずれにも自分で返答した。その他多くの民族の言葉を彼女は習得していたと言われているが、彼女より前のエジプトの諸王はエジプト語さえ学ぼうと努めず、マケドニア語さえお手上げであったものもあった。

 今でいえば教養に満ちたマルチリンガルの才女、という訳か。彼女の交際相手だったカエサルは弁舌も巧みで頭も良さそうだが、アントニウスのほうは勇猛だが粗野で無教養な人物として描かれている。まるで反対のタイプだが、うまく誘惑できたものだ。
 プルタルコスはまた、アントニウスの正妻であるオクタウィア(クレオパトラと同い年)のほうが、貞淑さでも美しさでもクレオパトラよりずっと上だと書いているのだが、アントニウスには退屈な女だったのだろうか?まあ政敵オクタウィアヌスとの和解のための政略結婚だったから、仕方ないかもしれない(なお子供はしっかり作っている)

 新聞記事にあったように、彼女の美化が始まったのはむしろ後世のようで、特にエリザベス・テーラーの演じたクレオパトラ像が決定的な役割を果たしたようだ。ドイツなどヨーロッパで広く親しまれているフランスの漫画「アステリクス」にもクレオパトラが登場するが、その姿はリズのそれに強く影響されている。これを原作とするフランス史上最高の制作費を投じた映画「ミッション・クレオパトラ」では当代随一のイタリアのセクシー女優モニカ・ベルッチが演じている。

(なんかこの映画、日本ではクレオパトラ=モニカ・ベルッチが前面に押し出されて宣伝されたみたいだな。本当の主人公はアステリクスとオべリクスという二人のガリア人なんだが・・・・)
 僕としては、モニカ・ベルッチはまんざらでもないが、エリザベス・テーラーのクレオパトラはちょっと引いてしまうなあ。それより何より、僕はにっこり微笑むだけが能のウルトラ美女よりは、話して面白い「並な風貌」の女性のほうが良いように思う。





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最終更新日  2007年02月16日 16時57分31秒
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