元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、11日の「しんぶん赤旗」で独りよがりの安倍外交を、次のように批判しています;
安保法制を強行し、自衛隊を米国の戦略に使う体制をつくったことからすれば、今回の訪米でオバマ大統領から大歓迎を受けると安倍首相は期待していたと思います。ところがニューヨークに実質4日間も滞在したのに、オバマ氏に会えませんでした。日本のメディアはこれを報じませんでした。オバマ氏からすれば、何でも「はいはい」の首相に会う必然性はありません。
「安保理常任理事国入り」を訴えたのも時代錯誤です。今は新興国を含む20カ国・地域(G20)で国際秩序が形成される時代に入っています。常任理事国に主要7カ国(G7)のメンバーを追加するよりも、インドやブラジルなどを入れるべきです。「日本が」というのは幻想にすぎません。
安倍首相の一般討論演説のとき、聴衆がほとんどいなかったことをみても、彼の発言には誰も関心がない。米経済誌『フォーブス』の「世界で最も影響力ある人物」で、1位はプーチン大統領、2位はオバマ大統領、安倍首相は63位です。米国に追随しているだけの国の話を聞いても、しょうがない。国際社会での日本の劣化はひどいものです。
日本が憲法9条を土台に平和の構築をやっていれば、全く逆だったはずです。今の世界は、「積極的」な軍事ではなく「積極的」な平和外交を求めています。イラク戦争、アフガニスタン戦争は”軍事力では解決できない”ことを見せつけました。そうした破綻した方向に日本が、これから向かうというのは、国際的な流れに逆行します。
◆国民連合政府
安倍政権の行動は本当に異常です。安保法制の強行で憲法がないがしろにされ、日本は法治国家なのか、その根本が問われています。いまの流れを止めないといけない。
そのカギを握っているのが、共産党だろうと思います。今回、学生など国民の声を受けて、共産党が「国民連合政府」を呼びかけました。安保法制はいろいろある問題の一つではなく、国民主権、国民の生命と生活を守るなど国の根本に関わる問題です。全面的に歓迎したい。
(聞き手・竹原東吾記者)
2015年10月11日 「しんぶん赤旗」日曜版 7ページ「平和外交求める流れに逆行」から引用
自衛隊が海外で武力行使できるようになれば、日本は国連の安保理常任理事国になれるし、アメリカの手下になって世界をコントロールできるなどというのは荒唐無稽な発想で、一部のネトウヨを除けば国民はそんな野望など持っていません。安倍氏の妄想で海外派遣される自衛隊員は、たまったものではありません。自衛隊から無駄な犠牲者を出す前に、安倍内閣を倒して次の政権で、早急に戦争法を廃止する手続きに入るべきです。