安保法制を廃止し間違った憲法解釈をまともな姿に戻すために野党の選挙協力で国民連合政府を作ろう、という共産党の提案について、元朝日新聞コラムニストで桜美林大学教授の早野透氏は、10月25日の「しんぶん赤旗」に次のような感想を書いている;
長年、政治記者をしてきて、選挙というものが一番重い取材対象だと思っています。国民にとっても、政党にとってもまさに運命がかかったものです。
安保法制に反対した政党が一致して、連合政府をつくるために、選挙協力しよう、という志位(和夫・委員長)さんの提案は、すごくシャープで力強い挑戦です。
安保法制を廃止するにはどうすればいいのか。廃止法案を国会に提出する、そのために多数派を形成しなければならない、同時に法律の大本となっている閣議決定を白紙に戻さなければならない。集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更は、閣議で決定したのだから、閣議で撒回しなければならないということでしょう。従って連合政府をということになるのだと思います。
安保法制と閣議決定を葬るには政権交代だということはよく分かる。市民運動から見てもこれは必要不可欠です。共産党が、選挙協力で、自分たちに不利な条件になるかもしれないけど、この間題は政権をとらないと解決しない、と大英断し、一歩踏み込んできたのは非常に大きいと思います。共産党は.「わが道を行く」という印象が僕も強かっただけに、「一石を投じた」という以上の大きなインパクトがあります。
ただ政権をとるということは、これは大変なことです。安保法廃止、閣議決定撤回以外の課題を脇においたとしても、経済対策とか社会保障とかは、一刻の休みも許されない。予算編成をどうするのかという問題もあります。連合政府を入り口にして、全面的な政策合意で新政権をつくるということも、視野に入れなければならないのではないか。
これまでは野党連合といっても「共産党を除く」という大前提がまかり通っていました。しかし、もうそんなことは時代遅れです。どう実現するのか、野党全体が大きく問われてくると思います。今回のチャレンジは、共産党の歴史の中でも特筆されるものとなるでしょう。
2015年10月25日 「しんぶん赤旗」日曜版 5ページ「歴史的なチャレンジだ」から引用
定員が1人の選挙区で自民党と民主党の得票数が接近しているとき、もし共産党の得票を民主党の票に加算できれば、野党の勝率は格段に向上すると考えられます。したがって、1人区の自民党候補を落選させる戦術として野党連携は強力な武器となり得ます。この辺の価値の大きさを、民主党内の右より議員によく理解してもらって、是非とも次の選挙では自民党を敗北に追い込んでもらいたいと思います。