吉屋信子の沢山書かれたであろう少女小説の傑作のひとつ。
同じ日に生まれた女の児ふたり。ひとりはお金持ちの別荘にて、かたや貧しい漁師の家で。あわれ別荘の児は母親がお産で亡くなってしまい、漁師の児の母にもらい乳をするべく預けられたことから取り替えられてしまうふたり。運命やいかに?
と現代ではありえない状況なのだが、書かれたのが昭和初期だし、御伽噺的レトロにどっぷりと浸かった。
その後の展開も起伏に富んで、偶然がかさなり、ハッピーエンドというおさだまり。しかし、私は面白く懐かしく一気に読んでしまった。たまにはいいもんだ。こういう息抜きも必要。
思想がいっぱい詰まっている文学は読み応えがある、けれども疲れることもあるのだ。
この文庫版の表紙の絵(須藤しげる)も似合って懐かしげ。
なお、舞台が蜜柑の花咲く海に近い村という設定は私の畑のあるところと同じではないか!もうすこし伊豆の方に近いのだろうが。それも身近に感じられた。
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