カテゴリ:読書メモ
童話作家浜田廣介さんの次女の方がたくさんの童話作品の中から
むしろ大人向きというものを多く選集したという。 その中でも特に印象的だった 「からかねのつる」 童話はおじいさんやおばあさん、動植物を主人公にして語るのが多いが このお話は珍しいことに、どうも中年の男である。 公園の池に鶴の噴水がある。 立派な銅鐘型の台座に乗っていて、羽を広げて今にも飛び立ちそうな鶴。 鶴はその嘴を大きく開けて、水を「しゃあしゃあ」と吹いている。 休日にそんな公園を散歩した男は、その夜、夢を見る。 ある暖かな晩方、公園を歩いて池にいきました。 もう夜更けにだし、誰も会わない 池の鳥たちも眠っているらしく、し~んとしている。 突然「ばさばさ」という音に男は驚く。 「おや!」噴水の鶴が飛ぼうとしてます。 「あっ!とぶ、とぶ。」 噴水の鶴は牡丹の花のように羽を広げ、 いつのまにか雪のように真っ白になってます。 昼間見たときには銅製の黒い鶴だったのに。 空には月が出ており、鶴が3羽飛んでいきます。 仲間なのだろう。 噴水の鶴がぐんぐん近づいていくのを、 いつまでもいつまでも眺めているのでした。 男は次の朝目覚めるとさっそく公園にいったのであります。 いつも通りの池、鶴の噴水はしっかりと立ってました。 けれども 「そのくちばしから出る水は、ほんとうに、 つるのむねからわきあがる思いのようにおもわれました。」 (「からかねのつる」の最後) 鶴のくちばし噴水からほとばしる水を「胸の思いのたけ」なんて、 洒落ているではありませんか。 いえいえ、その男も「胸の思いのたけ」がたくさんあったのでしょう。 ***** この話の「鶴の噴水」たぶん日比谷公園の池のなのでしょうね。 童話が書かれたころは銅製だった台座、戦中に供出してしまい今は石らしい。 こんな風になると、TVのニュースに映りますね。 (写真はネットから) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年06月23日 20時08分17秒
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