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カテゴリ:第10話 遥かなる虹の民
他方、アレッチェ側から見た今のコイユールは、寝台脇の小椅子に華奢な身を預け、彼の胸部に両手を当てたまま微動だにせず、息遣いさえも感じられぬほど気配も消えていて、まるで石像と化してしまったかのようである。 その一方で、彼女の両手が置かれた自分の胸板周辺は、異様なほど熱くなっていた。 胸に添えられたコイユールの手の平は高熱を帯びており、今や焼けた鉄版のようで、その周辺の腹部や首の方にまで熱気が伝播している。 「熱い!! 火傷の体に、さらに火傷を負わせるつもりか」 苛立たし気に歯軋りして怒鳴りつけたアレッチェの言葉も、しかし、今のコイユールには全く聞こえていないようで、彼女は同じ姿勢のままビクとも反応しない。 だが、今度は急速に彼女の手の温度が下がりだし、胸に氷を押し当てられているような冷たさに変わっていく。 「――ッ…!」 さすがのアレッチェも罵倒の言葉さえ失い、目を白黒させている。 対する当のコイユールの意識は、その間にも、ある種の深いトランス状態の中、アレッチェの体内奥部へ深々と沈み込んでいた。 【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆ ≪トゥパク・アマル≫(インカ軍) ≪コイユール≫(インカ軍) ≪ホセ・アントニオ・アレッチェ≫(スペイン軍) ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 目次 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら ★いつも温かく応援してくださいまして、本当にありがとうございます! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2017.02.14 00:09:02
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