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カテゴリ:外交
アメリカ人の致命的欠陥はアメリカ的正義を振りかざすところにあります。民主主義、自由主義が普遍の真理のように錯覚しています。民主主義はキリスト教文化の産物です。基本的人権もキリスト教抜きの世界では上手く機能しません。
アメリカには日本の占領政策の効果が上がり、日本の民主化を成功させた経験がります。それがイラクの民主化に自信を持たせたようですが、イラクと日本は別の世界です。日本とイラクの教育水準の差を考慮しなかったのは誤算でした。 アメリカが日本を占領した時にも日本の官僚機構は機能していました。天皇の終戦の詔勅を聞き、国民は敗戦を受け入れました。B24による連日連夜の爆撃、原子爆弾投下で戦意を喪失していました。むしろ敗戦を喜んだぐらいです。 戦前の帝国憲法は立憲君主制でした。法律で定める範囲内ですが民主主義、基本的人権は認められていました。西欧諸国からの情報も国内で手に入れることができました。マスコミも大本営発表しか報道しませんでしたが機能していました。 戦後世代には国民が象徴天皇制を受け入れられたのが奇跡のように思えますが、天皇親政から象徴天皇制に移行ができました。日本人の特技である外国の制度を換骨奪胎して制度化する能力、大宝律令で見せた能力をフルに発揮しました。 日本の民主主義、自由主義はアメリカの日本バーションにしかすぎませんが、この様に器用な国は他にないでしょう。アジアの国々でも民主主義が上手く機能せず、基本的人権は守られていません。イスラム教国では全く機能していません。 ですから、イラクに民主主義国家を造ろうとしたアメリカの戦略は根本的な誤謬の上に立脚していたのです。イラクは部族社会、血縁社会で成り立っています。基本的な単位は従兄弟集団ですから、基本的人権などはあり得ないのです。 イスラム教は私たちの理解の外の世界です。宗教が支配する国で法治主義は成り立ちません。イスラム教国では西欧の法と正義が支配するイメージは通用しません。イスラム教国にはイスラム法があり、西欧の法体系とは異なるからです。 イラクでは宗教、民族の違いだけでは割り切れない地縁、血縁を巻き込んだ内戦が起きているのでしょう。イラクはアメリカの正義では収拾の付かないカオスの世界に落ち込んでいるのでしょう。アメリカ兵がその犠牲にされています。 アメリカの取り得る道はイラク政府に権限を委譲し、彼らにカオスを沈静させる道しかないと思います。カオスが続くのならばそれも仕方がないのかも知れません。馬鹿な指導者がアメリカを挑発した結果ですから自己責任なのでしょう。 アメリカは戦争の大義を恣意的に操作された情報で判断したのですから、イラクの内戦状態には一義的な責任があります。戦争を始めた以上、内戦状態を収拾しないで撤退することは許されません。兵員の増派、復興支援は当然でしょう。 ブッシュ大統領も率直に責任を認めたのですから、アメリカは国力を総動員してもイラクの内戦状態を収拾する道を探し求めなくてはなりません。アメリカの正義を振りかざすのではなく、イラク国民が納得できうる解決策が必要です。 ネオコンの使命感は理解できなくもないのですが、キリスト教原理主義に陥っているように感じます。さらにブッシュ政権の軍需産業との癒着が気になります。イラク戦争にはフセイン大統領抹殺を旗印とした戦争とは違う構図が見えます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007/01/12 08:50:24 PM
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